上院保健教育労働年金委員会の委員長を務めるサンダースは20日、アマゾンのアンディ・ジャシーCEOに書簡を送り、労働者の負傷、離職率、生産性目標、連邦および州の規制の順守に関する詳細情報を要求。アマゾンの負傷率が「組織的に過小報告されている」と主張し、同社の重傷率が2021年に業界平均の2倍だったことが労組連合の報告書で指摘されているとした。
サンダースはジャシーとアマゾンに対し、7月5日までに回答するよう要請している。アマゾンは声明で、20日朝に書簡を受け取ったことを認め、対応を検討中だと説明。同社が2019年以降、労働災害を23%減少させたことを強調した。
アマゾンの倉庫をめぐっては、労働者から安全性の欠如を指摘する声が上がっており、数年前から厳しい視線を集めてきた。メディア各社が実施した調査の結果、障害保険をめぐる違反行為の他、高い離職率やけがの危険性が発覚。1月には、米労働安全衛生局が、労働者を捻挫や緊張、手根管症候群の危険にさらしたとして、アマゾンの倉庫3施設に計6万269ドル(約850万円)の罰金を科した。
1月に保健教育労働年金委員会の委員長に就任したサンダースは、Starbucks(スターバックス)による労働組合潰しの疑いをめぐってハワード・シュルツ前最高経営責任者(CEO)を公聴会で証言させるなど、注目を集める労働問題の調査を行っている。
シュルツに送った書簡では、スターバックスが組合結成を望む労働者との誠実な交渉を拒否していると主張し、「組合潰し」の中止を要求。シュルツは3月の公聴会で、組合潰しを否定した。サンダースは米紙ワシントン・ポストに対し、同様の公聴会でジャシーやアマゾン創業者のジェフ・ベゾスを証言させることは「大いにあり得る」と語っている。
米労働安全衛生局のデータを引用した労組連合ストラテジック・オーガナイジング・センター(SOC)の報告書によると、2022年にアマゾン倉庫で起きたけがは3万9000件。アマゾンの負傷率は他社の倉庫よりも70%高く、重傷者数は他社の倉庫の2倍だった。だがアマゾンはこれに対し、「重傷率」という規制上の指標は存在しないとして異議を唱えている。
(forbes.com 原文)