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2023.06.21 10:30

アマゾンやスタバなど、欧州で難民25万人の就労を支援へ

ドイツ・ベルリンで2018年に開催された難民・移民向け就職イベントで、求職者に就業機会について説明するアマゾンの担当者(Sean Gallup/Getty Images)

ドイツ・ベルリンで2018年に開催された難民・移民向け就職イベントで、求職者に就業機会について説明するアマゾンの担当者(Sean Gallup/Getty Images)

Adidas(アディダス)、Marriott(マリオット)、Amazon(アマゾン)など40社が19日、今後3年間で計25万人の難民に雇用や職業訓練などの支援を提供すると発表した。うち約1万4000人は各社が直接雇用するとしている。

企業各社による難民支援は19日、米ヨーグルトメーカーChobani(チョバニ)のハムディ・ウルカヤ最高経営責任者(CEO)が設立した非営利組織「Tent Partnership for Refugees(難民のためのテント・パートナーシップ)」が仏パリで主催したイベントで発表された。

AP通信によると、アマゾンは欧州全域の物流・配送拠点で今後3年間に少なくとも5000人の難民を雇用すると約束した。テント・パートナーシップと共同で、移民手続きや法的手続きにかかる費用、メンタリングや研修の提供についても支援するという。難民を直接雇用する企業には、Hilton(ヒルトン)やStarbucks(スターバックス)も含まれている。

一方、英Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)によれば、アマゾンは世界で1万人のウクライナ人にIT関連の訓練を提供することも明らかにした。また、人材派遣会社のAdecco(アデコ)、ManpowerGroup(マンパワーグループ)、Randstad(ランスタッド)が難民15万2000人の就労を支援するほか、コンサルティング大手のAccenture(アクセンチュア)、保険大手のGenerali(ゼネラリ)、求人サービスのIndeed(インディード)が8万6000人の職業訓練を支援するとしている。

アマゾンは昨年9月にも、2024年末までに米国で難民5000人を雇用すると発表している。同社バイスプレジデントのオフォリ・アグボカはフィナンシャル・タイムズに対し、ウクライナ、ベネズエラ、シリア、トルコの難民から応募があったと述べていた。

欧州では2015年、シリアで続く内戦に加え、アフガニスタンやイラクなど中東諸国から暴力を逃れてきた人々が殺到して難民危機が起きた。その影響は今も続いている。国連の先週の発表によると、迫害、紛争、暴力、人権侵害により2022年に避難を強いられた人は1億840万人に上る。うち52%がシリア、ウクライナ、アフガニスタンの3カ国からの難民だという。また、ロシアのウクライナ侵攻では570万人が国外に逃れ、これは第二次世界大戦以降で最もペースの速い難民流出となった。アフリカのスーダンからも、軍と対立する民兵組織との間で戦闘が続く中、毎週数千人が脱出している。このほか、世界で推定440万人が2022年末時点で無国籍または国籍不明だとしている。

欧州委員会のマルガリティス・スキナス副委員長は19日「欧州では技能職の人材が不足しているにもかかわらず、高等教育を受け、生計を立てる意欲を持ち、法的に働く権利を有するあまりにも大勢の難民が失業状態にある」と述べた。

forbes.com 原文

編集=荻原藤緒

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