そんななか、世界でもっともダウンロードされている無料語学学習アプリがある。「Duolingo( https://ja.duolingo.com/)」だ。「世界最高の教育を目指す」という本アプリの全世界の月間アクティブユーザー数は実に5000万人以上。日本には2020年11月に本格参入し、順調に利用者数を拡大中だ。2022年通期では、日本国内における教育アプリのダウンロード数、および収益ともにカテゴリートップとなった。
以下は6月に開催された、ChatGPTの最新『GPT-4』が搭載された、OpenAIの公式パートナーとしてのアプリについての説明会(都内・神山町トラストタワーWework)に参加した際のイベントレポートである。
「毎日10億データ収集」でOpen AI社Chat GTP4開発「公式ローンチパートナー」に
Duolingoは、42言語を扱うAI搭載教育アプリだ。DAU(1日のアクティブユーザー数)は前年同期比62%増の2030万人を誇り、有料会員数は前年同期比63%増の480万人を達成した。7四半期連続で加速度的なユーザーの増加をしているDuolingoは、今や毎日10億データをも収集するアプリとなり、数字としての実績はもちろんのこと、Open AI社のChat GTP4開発の公式ローンチパートナーとしてAI開発にも協力した。
このように、「世界で最も人気」の語学学習体験を提供しようとするDuolingoは、どのように長年のAI開発技術を活かして学習者(生徒)の心を掴む「最良の教育者」を提供しているのだろうか。
「最良の教育」を届ける、がミッション
当日は、20年間にわたって機械学習の研究を続け、認知科学にも精通するDuolingoのAI開発責任者Klinton Bicknell氏自身が、世界最高の教育を、IT技術を駆使し、「平等に」届けることがDuolingoのミッションだと話した。「最良の教育」を「最良の教育者のもとで勉強すること」と定義する氏は、その最良の教育者に顕著に現れる素質は下記の3つだと述べた。
1.教材を熟知していて、生徒からの質問に的確に答えられる
2.生徒のやる気を維持することができ、生徒をワクワクさせられる
3.生徒がどこで悩んでいるのか、その癖を理解し、他の生徒にも応用することができる
これらの素質をもった教育者(Duolingo)のもとで学習した生徒は、「大学の授業を4学期受講した」学生と同レベルの語学力を習得し得たことが判明した、とBicknell氏は話した。
また、これらの素質をアプリで再現するためにDuolngoが開発でこだわっている点は以下だという。
AIの介入割合を高く→解答幅広げる
先立つものは「教材開発」だ。カリキュラムの設計は、学習の専門家である人間がメインで担当し、次いでコンテンツの原稿を作成する。そこから演習問題を作り、最終的にレッスンをパーソナライズして教材を作ったが、段階を経るごとに人の介入割合を減らす一方、徐々にAIの介入割合を高めて作った。AIを用いることで、単にカリキュラム作成時のヒューマンエラーが減るだけでなく、一つの質問に対し、解答の幅を持たせた設問を効率的に作ることができた。