その1つが、Macをゲーミングコンピュータにふさわしいものにしようとするアップルの努力の成果だ。20年近くもの間、PCゲームは、Windowsのものとされてきた。例えば、『カウンターストライク』や『ディアブロ』『World of Warcraft』などのタイトルを真剣にプレイするのであれば、通常はWindowsのデスクトップタワーを手に入れるべきだとされている。
アップルは、この数十年にわたる従来の考え方を変えようとしている。この動きは、昨年のWWDCで、カプコンの大人気ゲーム『バイオハザード ヴィレッジ』をMacに移植し、Mシリーズシリコンで動作させるとアップルが発表したときから始まっていた。このゲームは昨年10月にMac向けに発売され、Windowsコンピュータのプロセッサとはまったく異なるアーキテクチャで構築されたMチップでスムーズに動作することが絶賛された。
アップルのMチップは、スマートフォンのチップと同じアーキテクチャで作られた、1つのチップにコンピュータを動かすのに必要なすべてのパーツが含まれるSoC(システムオンチップ)だ。10年以上にわたって、ハイテク業界では、こうした小型SoCはスマートフォンのような消費電力の少ないデバイスには最適だが、仕事やゲームに使うマシンを動かすには適さないという結論に達していた。しかし、アップルのMチップはその常識を覆し、ほとんどのテストでインテルのプロセッサを凌駕している。
このチップが、『バイオハザード ヴィレッジ』のようなグラフィックを多用するゲームを、WindowsマシンやソニーのPlaystation 5と同じように動かせることはとても印象的だ。『バイオハザード ヴィレッジ』のMac版の開発を担当したカプコンの神田剛プロデューサーは、筆者のインタビューに「移植作業は驚くほどスムーズに進んだ」と語ってくれた。
カプコンの神田剛(写真中央)と同社の幹部たち(Ben Sin)
「(バイオハザードで使われた)RE ENGINEは、当初、Windowsのアーキテクチャを想定して開発されていたので、Appleシリコンに移植することになったときは、本当に大変だと思いました。しかし、ユニファイドメモリのおかげで、驚くほどスムーズに進みました」と彼は語った。