カジノのすぐそばにあるこのホテルは、かつてはザ・アルティザンという名前で知られ、深夜に乱交パーティーが開かれる場所として悪名高い存在だった。しかし今、64室の大人限定のこのホテルは、現地で初の「大麻フレンドリーなホテル」として再出発した。
「このホテルは、大麻を売りにしているのではなく、大麻に対してインクルーシブなんです」と、3月に少数の投資家グループとともにザ・アルティザンを1200万ドル(約17億円)で買収した44歳のリックは話す。彼のホテルは、大麻を販売しないし、大麻を吸わない客が煙に包まれることもない。
リノベーションに300万ドルを投じたレキシの4階のフロアは、大麻を吸うゲストのための場所で、最先端の空気清浄システムが設置された部屋の料金は、1泊あたり180ドルから400ドルだ(ホテル内の他のエリアで大麻を吸うことはできない)。
「グレーゾーン」のビジネス
しかし、リックに言わせると彼のホテルの取り組みは、法的には「グレーゾーン」のビジネスなのだという。ネバダ州は2016年に娯楽用大麻を解禁したものの、公共の場での消費は非合法で、カジノから1500フィート(約450メートル)以内に大麻関連の施設を開設することを禁じている。つまり、ラスベガスを訪れる年間3800万人の観光客にとって、マリファナを買うことは非常に簡単だが、合法的に吸える場所を見つけることは非常に難しいのが現実だ。
大麻は連邦レベルではまだ違法であるため、どのカジノホテルでも大麻の喫煙は禁止されている。そこで、リックは、レキシをラスベガスの大麻のオアシスにすることにした。6月1日、宿泊客を迎える準備をしながら取材に応じたリックは「みんな、私の弁護士になりたがっています」と語った。「実際、法的には微妙なところなんです」
州の大麻規制当局も、彼のホテルの計画が未知の領域にあることを認めている。ネバダ州大麻コンプライアンス委員会の広報担当は、フォーブスの取材に「レキシは、いかなる種類の州の大麻ライセンスも保有していない。当局は彼らの事業計画の合法性についてコメントすることはできない」と話した。
リックが考える「グレーゾーン」は、州の法律で「私邸」とみなされるものに関する条項だ。つまり、ゲストの部屋の中で何が起きているのかが問題なのだ。ネバダ州法では、私邸を「公的機関や私的機関が所有または賃借する建物で、私的な住居として機能するもの」と定義している。これには、一戸建てやコンドミニアム、モバイルホームなどが含まれる。しかし「ホテルやウィークリーホテル、モーテルは含まれない」との条項もある。
ネバダ州の検事局は、レキシの大胆なビジネスモデルについてのコメントを拒否した。州の検事総長室も「これらの質問への回答は法的なアドバイスになる可能性があり、私たちは提供できない」と話した。
しかし、リックは「私たちは何のルールも破っていません」と主張している。