アジア

2023.06.21 20:00

50年前にモンゴルを訪ねた司馬遼太郎が語る天然ハーブの草原

ゲルリゾートの目の前に淡い紫色のマツムシソウが咲いていた

モンゴルといえば乗馬である。実は、筆者はペットも含めて動物に触れるのがあまり好きではない。これまで乗馬は避けてきたのだが、青空の下、遊牧民の子どもたちが案内してくれるというので、挑戦してみたところ、意外と楽しめた。
 
モンゴルの乗馬は初心者も何時間でも自由に馬にまたがったまま過ごせる

モンゴルの乗馬は初心者も何時間でも自由に馬にまたがったまま過ごせる


草原では、羊や馬だけでなく、黒い体毛に覆われたヤクの群れをよく見かけた。1本の草分け道を車で抜けようとしても、周辺を占拠するヤクの群れがいて、いつまでたっても進めないことがあり、まるでサファリを体験しているようで面白かった。放牧された動物というのは見飽きないもので、子どもを連れて行くときっと喜ぶと思う。
 
遊牧民の住むゲルにも案内された。涼しく快適なゲルのなかで、ミルク茶の「スーテーツァイ」や乾燥チーズの「アーロール」、揚げ菓子の「ボールツォグ」を供された。
 遊牧民の住むゲルは一見観光用にも見えるが、広大な草原ではまれびとである旅人をもてなすのが普通のことだった

遊牧民の住むゲルは一見観光用にも見えるが、広大な草原ではまれびとである旅人をもてなすのが普通のことだった

ゲルの中は涼しく、澄んだ空気に満ちている

ゲルの中は涼しく、澄んだ空気に満ちている

揚げ菓子の「ボールツォグ」や生クリームの「クロム」、馬乳酒の「アイラグ」はゲルのおもてなしセット

揚げ菓子の「ボールツォグ」や生クリームの「クロム」、馬乳酒の「アイラグ」はゲルのおもてなしセット


この揚げ菓子にはバターと生クリームの中間のようなクロテッドクリームの「ウルム」をつけて食べる。なかなか慣れない味だが、草原の空気と一緒に口のなかに放り込むのはオツなものだ。
 
最後に出されたのが馬乳酒の「アイラグ」。意外にひんやりしている。遊牧民にとっては貴重なビタミン源といわれているが、このときは遊牧民の娘さんがその場で馬の乳を搾り、それを馬の皮で発酵させるところまで実演してもらった。
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文=中村正人 写真=中村正人、佐藤憲一 取材協力=(株)ジャパン・エア・トラベル・マーケティング

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