FTCは、1Health.ioがデータの削除に関して顧客を騙し、機密性の高い遺伝子や健康データの管理を怠ったと述べている。DNA検査企業に対するこのような申し立ては、今回が初めてという。
訴状によると、かつてはVitageneという社名を名乗っていた1Health.ioは、自社のDNA検査キットの「揺るぎない」水準のセキュリティを約束していたにも関わらず、個人のデータをアマゾンのクラウド上の一般からアクセス可能な場所に保管していたという。
データが第三者によってアクセスされたという苦情は確認されていないが、FTCによると、約2400件の健康レポートと、少なくとも227人の遺伝子データが危険にさらされていた。さらに、1Health.ioは、顧客に対し、いつでも個人情報を削除でき、サンプルは分析後すぐに破棄されると約束していたにも関わらず、DNAサンプルを破棄していなかったという。
FTCによると、同社はVitagene時代の2年間に少なくとも3回、同様な警告を当局から受けていたという。和解案の一部として、1Healthはデータの保護を強化し、180日以上経過した消費者のDNAサンプルをすべて破棄するよう、外部のラボに指示する必要があると提案されている。
米国では近年、郵送によるDNA検査で健康上の懸念点に関するレポートや家系図が入手できるサービスの人気が高まっているが、多くの人々がプライバシーを懸念している。調査企業YouGovが2月に行った世論調査では、回答者の半数以上(53%)が、民間のDNA検査会社に関して、プライバシーが「とても気になる」「やや気になる」と回答していた。
さらに、警察などの法執行機関が民間企業のDNAデータにアクセスできることも、人々の懸念を高めている。米警察は2018年に、DNAデータを用いてカリフォルニア州で少なくとも13人を殺した連続殺人事件の容疑者を逮捕していた。YouGovの世論調査では、警察がこのようなデータを「すべてのケースで利用できるようにすべきだ」回答した人は全体の30%で「暴力犯罪に限る」と答えた人は31%「利用すべきでない」と答えた人は23%だった。
消費者向けの遺伝子検査の最大手で、DNAから家系図が入手できるサービスのアンセストリー(Ancestry)は、これまで世界の2200万人が同社の検査キットを使用したと述べている。
(forbes.com 原文)