他にも、地球のコア内の動きや、太陽潮といった要因はあるが、月による潮汐力は地球の1日の長さを決める最も重要な要素だ。
しかしながら、1日の長さは長い時間をかけて少しずつ長くなったわけではないようだ。かつて停滞期があり、そのために植物が繁茂し、酸素濃度が急上昇したと考えられる。
劇的な結果
「長い時間をかけて、月は地球の回転エネルギーを奪い、地球から離れた高い軌道へと自身を持ち上げてきました」と、中国科学院地質地球物理研究所の地球物理学者で、6月15日にNature Geoscienceで公開された最新研究の主著者、ロス・ミッチェルはいう。地球の軌道周回や自転角度の変化は、地球に大きな影響を与え、劇的な結果をもたらした可能性がある。
ゆっくり着実に、ではなかった
同研究では、多くの地球自転モデルが予測しているような、ゆっくりと着実な変化が起きていた証拠は見つかっていない。過去の研究のほとんどは、堆積岩の中に保存された干潟を調べたもので、層の数が潮汐の回数を表し、そこから古代の1日の長さがわかる。
新たな研究は「cyclostratigraphy(周期層序学)」という科学分野を利用した。膨大な堆積層の中に見られるリズムに基づいて、長期的天文周期を考慮に取り入れる。NASAによるとこれらの、いわゆるミランコビッチ・サイクルと呼ばれる天文周期には、以下の3つがある。
・地球の公転軌道の形状(離心率)の周期的変化
・地軸の軌道面に対する傾き(黄道傾斜角)の周期的変化
・自転軸が回転する方向(歳差運動)
ミランコビッチ・サイクル
後の2つ、黄道傾斜角と歳差運動は、地球がふらつきながら自転している結果だ。コマを回すときに見られる現象でもある。回っているコマはしばらくすると軸の角度が変わる。「初期の地球の自転が速かったことは、過去の歳差運動と黄道傾斜角周期が短かったことから知ることができます」と共著者で、現在オーストラリア、カーティン大学特別研究員のウヴェ・カーシャーはいう。歳差運動は2万2000年にわたって起きており、地軸の方向はさまざまな恒星を指すように変わった。たとえば現在、ポラリスという恒星が北極星として知られているのは、それは地軸が真っ直ぐそこを指しているからだ。しかし1万2000年前には、明るい星のベガが北極星だった。