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2023.06.21 08:15

AIで横長のテレビ番組を縦長動画に変換、そのアルゴリズムとは

「スナイパー時村正義の働き方改革」(プレスリリースより)

「スナイパー時村正義の働き方改革」(プレスリリースより)

近年、TikTokやInstagramなど、縦型動画を配信するプラットフォームが増えたことを背景に、スマートフォンで縦型動画を視聴する人が若者を中心に増えている。しかし、縦型動画の縦横比(アスペクト比)は、テレビ用に作成された横長の動画コンテンツと大きく異なる。

そのためテレビドラマのプロモーションをスマートフォンで実施する場合には、(1)長尺のドラマを短尺のプロモーション動画に編集する、(2)横長のテレビ画面用サイズを、スマートフォンを縦にしたときの縦長サイズに編集、という2段階の編集が必要になり、その作業に大きな労力と時間がかかるという課題があった。

そこで博報堂DYメディアパートナーズとCBCテレビはAIを活用し、スマートフォンに最適化されたテレビドラマのプロモーション動画制作にかかる時間と労力を省力化するための実証実験をスタート。第1弾として、CBCテレビ制作ドラマ「スナイパー 時村正義の働き方改革」のTVer配信スタートに合わせて、そのプロモーション動画(※1)を制作した。

具体的な手順は次の通り。

(1)まずは博報堂DYメディアパートナーズが、東京理科大学 創域理工学部 大和田研究室、TV番組・CMのリサーチ会社であるエム・データと共同開発した「ダイジェスト動画自動生成システム」を用いて、ドラマ本編から1分のダイジェスト動画を生成。同システムでは、出演者の発話やテロップなど、テレビドラマのメタデータを自然言語処理することで各シーンの重要度を判定し、指定の長さでアウトプットを生成できる。

(2)次に、博報堂DYホールディングスのグループ横断型の研究開発組織「Creative technology lab beat」(※2)が開発した制作支援プロダクト「H-AI MOVIE RESIZER」を使用し、16:9のダイジェスト動画を1:1にリサイズ。同プロダクトでは、動画クリエイティブに対して、物体検出AIを用いて動画内の被写体・物体を解析、高速リサイズできる。従来は一週間程度を要するリサイズ動画の制作を、数時間に短縮可能だ。

(3)そして最後に、1:1の動画の両サイドを機械的に削除し、9:16に仕上げる。

今回、(1)(2)の工程でAIシステムを利用することにより、時間と労力を大幅に省力化することが可能になった。

今後は、「ダイジェスト動画自動生成システム」のメタデータ生成を自動化し、処理速度を改善するアップデートを2023年度中に予定しているほか、「H-AI MOVIE RESIZER」については6月、9:16へのリサイズ自動化を優先的に行う予定だという。博報堂DYメディアパートナーズとCBCテレビは、これから対象コンテンツやAIが処理する範囲を拡大しながら、テレビコンテンツのさらなる利活用とその効率化を図っていく方針を示した。

※1 「スナイパー 時村正義の働き方改革」 https://hicbc.com/tv/sniper_tokimura/
※2 2022年1月に発足。クリエイティブ領域におけるAI技術の産学連携の学術研究からプロダクト開発、クリエイティブ業務のワークスタイル変革までを担う

プレスリリース

Forbes JAPAN Web編集部

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