LAとラスベガス間も
一方、プライベートエクイティの大富豪ウェス・イーデンスが計画中のラスベガスとロサンゼルス郊外を結ぶ高速鉄道の「ブライトライン・ウェスト」も、ソーラー電力で列車を走らせようとしているが、カリフォルニア州の計画とは異なり、同社は砂漠の大規模なソーラー発電所から電力を購入する予定だ。120億ドルを投じたブライトライン・ウェストのプロジェクトは、2028年までの開業を予定し「世界で最も環境に優しい列車になる」と述べているが、カリフォルニアのシステムは、独自のリソースを使うことで、数年以内にそれを追い越す可能性がある。
カリフォルニア州の太陽光システムを支援する英国の鉄道関連のコンサルティング企業「ネットワーク・レール・コンサルティング」のライアン・スコットは、シーメンスやアルストムのような大手のコングロマリットが、カリフォルニアの鉄道プロジェクトに太陽光発電システムを供給するかもしれないと考えている。この2社はまた、カリフォルニアとブライトライン・ウエストの両方のプロジェクトの高速列車を製造したいと考えている。
「炭素クレジット」の収益も視野に
カリフォルニアの高速鉄道は、農業の中心地であるマーセッドからベーカーズフィールドにかけて建設される高架橋を走ることになる。電力システムの構築には高額な初期費用が必要だが、数年後には大きな節約になるはずだと州当局は述べている。彼らは、電気代を年間75%削減でき、1年あたり1400万ドルの節約になると試算している。このシステムは「ビハインド・ザ・メーター」システムとして送電網に接続される。つまり、余った電力は送電網に送り返されることになる。ブライトライン・ウェストは、連邦政府の補助金37億5000万ドルを申請しており、主に国道15号線の中央分離帯にある線路を使用する計画で、カリフォルニア州のように自社で太陽光発電所を建設することは考えていない。ただし、創業者のイーデンズは、このプロジェクトがESG(環境、社会、ガバナンス)投資であることを大いにアピールし、建設資金として80億ドルから90億ドルを追加で調達する予定だ。
しかし、カリフォルニアの当局は、クリーンな電力システムを構築しているが、炭素クレジットによる収益化の方法をまだ模索していない。ビッグプロジェクトの資金調達に長けたイーデンズが、ブライトライトライト・ウエストで目指しているのは、そのような方向性だと考えられる。
これは、マスクが得意とするやり方でもある。テスラは、カリフォルニア州における炭素クレジット分野のリーダーであり、2008年以来、77億ドルの資金を獲得している。
カリフォルニア高速鉄道局のCEOのブライアン・ケリーは、このシステムが、カリフォルニアに貢献できるよう、あらゆる可能性を探ると同時に、可能な限り費用対効果が高いものにしたいと述べている。
(forbes.com 原文)