ビジネス

2023.06.21 09:00

ビジネスにも通じる、最前線に立ち続けるプロゲーマーの「覚悟」

梅原大吾 「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」(東京・中野)にて

北野:新作が出るのは、ゲーマーとしてどういう感覚なんですか。
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梅原:まさに「革命」が起こるので、これまでのプロがいなくなる、強かった人が勝てなくなるケースを何万人と見てきました。ただ、根っこではみんなゲームが好きなので、新作ゲームをまた一からプレイできる喜びのほうが強いと思います。新規のプレイヤーはスタートダッシュをメチャクチャ頑張ってやれば、将棋で例えるなら羽生善治九段と同じ条件で戦える、もしかしたら勝てるかもしれない。
 
大事なのは、過去の栄光を忘れること。弱いのに強者のプライドだけ残っていたりすると、まったく上達しませんから。自分のなかで切り替えないと、新しいことには付いていけないです。

北野:人生というか、経営そのものですね。以前、ニトリの白井俊之社長にインタビューしたときにも、「現状否定」の連続が大事だとおっしゃいました。

梅原:僕がレバースティックのコントローラーから、いまのレバーレス型に替えたのも一緒です。自分からすると、レバーは「箸よりも使ってきたぐらいの道具」。替えたのが2019年なので、27〜28年は使ってきたものでした。
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北野:よく思い切れたなと思います。

梅原:やっぱりおっくうでしたよ。楽器をやっている人なら対応するのが早い。僕は楽器もPCゲームも全然やらなかったので、最初は左手がまるで動きませんでした。ただ、こっちのほうが将来的に強いと思ったので、率先して替えたんです。最初の1年ほどは成績も落ちましたね。でも、後追いは大嫌い。この道具を見たときに「放っておいたら後追いする側になりそうだ」と直感的に思いました。

北野:本当にイノベーターなんですね。

梅原:実際、いま活躍中の選手はみんなレバーレスなので「いやー、危なかった!」と(笑)。

北野:あらためて、格闘ゲームの魅力とは。

梅原:1対1のeスポーツであることでしょう。団体戦がメインになっている今日だと、こういう勝負はなかなかありそうでないんですね。
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文=神吉弘邦 写真=桑嶋 維

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