全身の疲労感や倦怠感、イライラ、ほてり、発汗などといった症状があり、男性には閉経のような大きな変化がないことや、発症する年齢にも個人差があることから、男性更年期障害だと気づかず症状に悩んだり、放置して悪化させてしまうケースもあるという。
そうした中、医療関連領域の調査・データ解析を行うメディリードは2023年4月、20代~60代の男性を対象に、男性更年期障害についての実態調査を実施(有効回答数:5252サンプル)。男性更年期障害の認知や症状の実態、影響度合いについての結果を発表した。
男性更年期障害について「名前と主な症状まで知っている」人の割合は、25%にとどまる結果に。「名前のみ知っている」人は44.3%、「全く知らない」という人も30.7%存在した。
男性更年期障害 認知度
続いて、男性更年期の症状が現れているかについては、AMSスコア(※)の判定で軽度以上の割合が4割近く(38.3%)に上った。年代が上がるにつれて更年期症状の割合が増加傾向にあり、「中等度」以上のスコアは40代で19.5%、50代で20.1%と、他の世代より高かった。
AMS更年期症状
※1 精神・心理、身体、性機能に関する17項目のセルフアセスメント型の症状スコア。各項目とも「なし」「軽い」「中等度」「重い」「非常に重い」の5段階で評価し、それぞれ1~5点の点数をつける。合計85点のうち26点以下が正常、27~36点が軽度、37~49点が中等度、50点以上が重度と分類される。
さらに、発症後に取った行動について尋ねると、病院を受診したのは全体のわずか10.7%で、AMSで「重度」と判定された人でも、2割程度(21.2%)しか受診してないことが明らかに。「重度」の人でも、「何もしていない」と答えた人が半数近く(47.7%)に上った。
発症後の行動
他にも病院へ通院し、更年期障害と診断または疑いがあると指摘された人に、仕事と家庭生活、人間関係への影響度を質問した。すると仕事では86.5%、家庭生活では73.1%、人間関係では69.2%に及び、男性更年期障害が人生の幅広い領域に大きな影響を及ぼしていることが分かった。
更年期障害が及ぼす影響度
順天堂大学大学院 医学研究科 泌尿器外科の井手久満医師は、「企業にとってプレゼンティーズム(※2)による経済的損失が問題となっているが、その背景に男性更年期障害があるかもしれない。今回の調査で、男性更年期障害の有訴率(自覚症状のある人の割合)と比較して、病院への受診率が低いことが示された。今後、受診勧奨や治療に関する啓発が必要だと考えられる」と課題を指摘した。
※2 欠勤には至っていないものの、健康問題が理由で生産性が低下している状態。
プレスリリース