AIは学習に使用したデータを再現できるため、情報漏えいの恐れが生じる。ロイターが関係筋4人の話として報じたところによると、アルファベットはさらに、自社のエンジニアに対し、チャットボットで生成可能なコンピュータコードの直接使用を避けるよう警告した。
AI分野では競争が激化しており、各社が巨額の投資や広告料の獲得をめぐってしのぎを削っている。こうした中、グーグルのAIチャットボットであるBardで情報漏えいが発生すれば、ライバルであるOpenAI(オープンAI)のChatGPT(チャットGPT)に利する可能性がある。ニュースサイトのポリティコは今週、プライバシー関連の懸念から、グーグルがBardの欧州連合(EU)での提供開始を延期すると報じていた。
大手企業の間では、社内情報漏えいの恐れを理由に、社員によるAIツールの使用を禁じる動きが広まっている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先月、アップルが社員に対し、ChatGPTや、GitHub(ギットハブ)が提供するAIプログラミング支援サービス「Copilot(コパイロット)」の使用を禁じたと報道。
またアマゾンは、ChatGPTの返答の中にアマゾン社内データと類似するものが見つかったことを受け、社員に対し、コードや機密情報のChatGPTへの共有を全面的に禁じた。
JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ドイツ銀行、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックスといった金融機関も、機密情報共有の恐れから、社員によるAIチャットボットの使用を禁止した。オープンAIは3月、一部のユーザーが他のユーザーのチャット履歴を閲覧できる状態になっていた不具合を修正するため、一時的にChatGPTの公開を停止している。
グーグルは現在、Bardの40言語、180カ国以上での公開を段階的に進めている。3月には、米国で一般公開を開始した。ロイターによると、グーグルが2月、Bardの公開を発表した際には、プロモーションビデオ内での質問に誤った回答をする問題が起きた。この直後にアルファベットの株価は下落し、同社の時価総額は1000億ドル(約14兆円)減少した。
(forbes.com 原文)