数十年にわたってネズミと闘ってきたパリ市役所はこのほど、ネズミと共存する方法を探り、これまでと異なる害獣対策のアプローチ開発を目指す委員会を立ち上げた。公衆衛生担当の副市長は、ネズミとの共存はパリ市民にとって「効果的」かつ「耐えがたいほどではない」対処法だと述べている。
ニュースサイトPolitico(ポリティコ)は「パリのアンヌ・イダルゴ市長が光の都を蹂躙するネズミたちに向けて、なぜ友達になれないのかとメッセージを送った」と報じた。
公共記念碑と比較されるネズミの存在感
英ロンドンや米ニューヨークなど世界の多くの大都市と同様、パリでもネズミは日常の一部と化し、地元メディアが冗談交じりに「パリの不快な装飾」の一例に挙げるほど市民はその存在に慣れきっている。レストランでネズミを見かけても気にする人はいないのが普通で、誰かが文句を言っても店員は大概「大丈夫ですよ」と答えるだけだ。パリは実際、インド・デシュノク、ロンドン、ニューヨークに次いで世界で4番目にネズミの多い都市で、人口(210万人)よりもネズミの生息数(600万匹)のほうが多い。
仏週刊誌Le Point(ル・ポワン)は、パリとネズミには「長い歴史がある」と記している。何世紀も前からネズミは何らかのかたちで日常生活に介在し「19世紀には下水に群れをなし、テーブルの上を我が物顔に駆け回り、手袋や鍋の中で死んでいた」という。「パリにおいて、ネズミとの共存は新しいことではない。何世紀にもわたり、ネズミはパリ市民の最も古い同居人であり、嫌悪感、ヒステリー、伝説、ファンタジーを同時に喚起してきた」
アニメ映画『レミーのおいしいレストラン』を覚えているだろうか。料理の得意なネズミが、パリの一流レストランで見習いシェフを助けて活躍する物語だ。