北米

2023.06.16 09:30

コロナ生物兵器説からJFK謀殺説まで ケネディJr.が唱える陰謀論の数々

2024年の米大統領選に民主党から立候補しているロバート・F・ケネディ・ジュニア(Shannon Finney/Getty Images)

コロナは遺伝子改変されていた

「コロナは明らかに生物兵器という問題だった」とケネディはスペースで断じ、一部の強硬な右派の主張に同調した。米国の情報機関は新型コロナウイルスが研究所から偶然流出した可能性を排除していないが、意図的に流出させたとする説を裏づける証拠は見つかっていない。

ファウチとゲイツがワクチン普及などを狙いコロナ禍を誇張

ケネディは2021年に出した本『The Real Anthony Fauci(アンソニー・ファウチの正体、未邦訳)』で、大統領首席医療顧問(当時)のアンソニー・ファウチ博士とマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツがメディアと公衆衛生の分野で法外な影響力を行使し、「西欧の民主主義に対する歴史的なクーデター」を起こしたと指弾した。ケネディは新型コロナの治療薬として寄生虫病薬「イベルメクチン」など未承認の薬の服用を勧めた。

ワクチンで自閉症になる可能性

ケネディは、ワクチンに含まれる防腐剤「チメロサール」が、自閉症の診断例増加と関連しているらしいとする説も広めてきた。2006年にはローリング・ストーンや雑誌サロンの記事で、米政府はそれを知りながら「製薬業界が米国の子どものひとつの世代全体を害するのを許してきた」とも非難している。チメロサールはかつてはワクチンに含まれていたが、最近のワクチンではほぼ使われていない。米疾病対策センター(CDC)や世界保健機関(WHO)をはじめとする専門機関の間では、ワクチンと自閉症の間に信じるに足る関連性はないというのが共通の見解となっている。

本人は「反ワクチン」ではないと否定

ケネディは「反ワクチン」というレッテルを貼られることには繰り返し反発している。安全なワクチンには反対していないとし、自分の子どもたちにもワクチンを接種させてきたという。ケネディはこれまで環境派の弁護士として活動し、自身が設立したNPO「チルドレンズ・ヘルス・ディフェンス」の会長も務める。チルドレンズ・ヘルス・ディフェンスは、ワクチン懐疑論を唱導してきた団体のひとつだ。
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民主党の候補指名をめざすケネディに対しては、ツイッターの共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のジャック・ドーシーらテック業界の大物たちも応援している。ドーシーは「彼なら(バイデンに)勝てるし、勝つだろう」とエールを贈っている。

ケネディの家族は彼の意見や立場から距離をとっている。妻で女優のシェリル・ハインズはケネディの大統領選出馬を支える考えを示す一方、ケネディが昨年、ワクチン接種の義務化をナチ・ドイツになぞらえたあとには「夫の意見はわたしの考えを反映したものではありません」と断っている。姉のキャスリーン・ケネディ・タウンゼンド元メリーランド州副知事や兄のジョセフ・P・ケネディ2世元下院議員らは、2019年に政治サイトのポリティコに寄稿した論説で、ケネディはワクチンに関する誤った情報を広めていると批判した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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