北米

2023.06.16

コロナ生物兵器説からJFK謀殺説まで ケネディJr.が唱える陰謀論の数々

2024年の米大統領選に民主党から立候補しているロバート・F・ケネディ・ジュニア(Shannon Finney/Getty Images)

米国のジョン・F・ケネディ元大統領のおいで、2024年の大統領選に民主党から立候補しているロバート・F・ケネディ・ジュニア(69)は、数々の陰謀論を広めてきたことでも知られる。Twitter(ツイッター)の音声チャット機能「スペース」を使い今月行われた討論でも、米国の銃問題や新型コロナウイルスの起源などをめぐって事実に基づかない主張を繰り返した。

ケネディは民主党の大統領候補としては現職のジョー・バイデンに次ぐ20%ほどの支持率を得ており、最新の世論調査ではバイデンや共和党のドナルド・トランプ前大統領を上回る好感度を獲得している。本記事では、ケネディが唱えてきた主な陰謀論をまとめた。

銃乱射事件は処方薬と関係

5日にスペースでツイッターオーナーのイーロン・マスクと行った対談で、ケネディは「(抗うつ剤の)プロザックが登場する前は、こういうこと(大量銃撃事件)はほとんど起きていなかった」と主張し、銃乱射事件はプロザックのような薬の服用と関係があるとの見方を示した。だが、政治家などの発言をファクトチェックしているサイト「ポリティファクト」によると、精神科の薬と大量死傷事件との間に科学的な相関関係は確認されていない。

2004年の大統領選は盗まれた

ケネディは2006年に音楽誌ローリング・ストーンに寄せた記事で、共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領に民主党のジョン・ケリー候補が挑んだ2004年の大統領選について、投票不正によりケリーの勝利がブッシュに奪われたことを「確信している」と述べた。しかし、民主党が2005年に実施した調査では、オハイオ州の選挙システムが機能不全に陥ったことを認める一方、不正の証拠は見つからなかった。

JFKの暗殺にCIAが関与

ケネディはかねて、1963年の伯父・ケネディ元大統領暗殺には米中央情報局(CIA)が関与したとする根拠のない説を唱えており、先月、FOXニュースのショーン・ハニティーの番組に出演した際も同様の主張を繰り返した。米政府が事件を検証するために設置したウォーレン委員会は、銃撃したリー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行だったと結論づけている。

父親暗殺の「真犯人」が存在?

ケネディの父親で、民主党の大統領選にも出馬したロバート・F・ケネディ元司法長官は、1968年にサーハン・サーハンに銃で撃たれて死亡した。サーハンは事件の数日後に犯行を認め、その後有罪判決を受けているが、ケネディはこの判決に疑問を呈している。サーハンの弁護団は近年、サーハンは催眠術をかけられてケネディを殺害するように仕向けられたと主張している。

製薬業界は民主党に巨額献金

ケネディはスペースで、2010年に医療保険改革法(オバマケア)が成立して以降、「民主党は製薬業界から共和党よりも多くの献金を得ている」とも発言した。だが、ヘルスケア分野を専門とするニュースサイト「STAT」の調査によると、米国の大手製薬会社23社と2つの製薬業界団体による献金額は、1990〜2020年に実施された16の選挙のうち14で民主党よりも共和党向けのほうが多かった。

スイスでの銃の所有状況は米国と類似

ケネディは、大統領に当選しても「誰の銃も取り上げない」と確約しつつ、銃をめぐる米国とスイスの状況は似ているというデタラメな発言もしている。スイスのジュネーブにある国際・開発研究大学院の「スモール・アームズ・サーベイ(小火器調査)」によると、米国には100人あたり120.5丁の銃があるのに対して、スイスでは27.6丁というのが実情だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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