具体的な目標しかない
現代の経営者は、どうしてもアメリカの影響からか、できるだけ自分の代で会社を大きくしたり影響力を発揮したりすることを求めがちです。ただ、酒蔵の経営はちょっと違うんです。僕には壮大なビジョンがあるわけではなく「質の良いお酒をつくり続けたい」というこだわりが一番大きい。来年は木桶を何本増やそうとか、無農薬栽培米を増やそうとかそういう具体的な目標しかないんです。でもそのほうが、元々クリエイター気質な僕には合っているかもしれません。
撮影=堀清英
祖父もそうでしたが、僕は自分が本当に好きなことを突き詰めているだけなんだと思います。寝ないで働いても全然苦痛じゃないくらい、酒造りや酒蔵の経営が好きなんです。
次世代以降の新政酒造も、日本酒が本当に好きな人に楽しんでやってもらえたら嬉しいですね。次世代も、次世代なりに、自分が解釈した日本酒像というものを突き詰めてもらいたいと思っています。