経済・社会

2023.06.16 08:00

世界の石油需要の伸びは鈍化へ、EVの普及が一因

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国際エネルギー機関(IEA)は6月14日、世界の石油需要の伸びが今後の数年にわたって鈍化し、ほぼ停止状態になると予測した。これは、エネルギー価格の変動が、パンデミックやロシアのウクライナ侵攻に続く代替エネルギーへのシフトを加速させるためだという。

IEAは、2028年の世界の石油需要が、2022年との比較で約6%増の1日あたり1億570万バレルに達すると予測した。同機関は、電気自動車(EV)へのシフトや効率化を促す政策により、輸送に使用される石油の世界需要が2026年に減少し始めると述べている。

ガソリンへの需要の伸びは今年末に減少に転じ、バイオ燃料や石油化学原料、その他の非エネルギー用途を除いた「可燃性化石燃料」の需要は2028年にピークに達すると、報告書は付け加えている。

一方、石油の需要は、2023年の日量240万バレルから、2028年には日量40万バレルにまで落ち込むという。しかし、IEAは、2050年までに純排出ゼロという目標を確保するためには「追加の政策措置と行動の変化」が必要であると指摘した。

IEAのファティ・ビロル事務局長は次のように述べている。「クリーンエネルギー経済へのシフトはペースを上げており、世界の石油需要のピークはこの10年の終わりまでに見えている。石油の生産者は、変化のペースが高まっていることに細心の注意を払い、投資決定を調整する必要がある」

一方、パンデミックに関連した旅行制限の撤廃にともない、航空需要が回復する中、航空燃料は、今後の5年間で需要の最大の牽引役となる見通しだ。2023年初頭のジェット燃料の需要は2019年のレベルを13%下回っていたが、2027年にはパンデミック前のレベルを超えると予想されている。

世界の石油価格は、過去3年間、極めて変動が激しい状態にあった。パンデミックが始まった2020年に、ブレント原油指数は一時1バレル10ドルを割り込んだ。しかし、昨年のロシアのウクライナ侵攻後に世界の原油価格は一時1バレル130ドル以上に急騰し、米国と欧州で急激なインフレを引き起こした。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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