巨大マゼラン望遠鏡(Giant Magellan Telescope)は、チリ、ラ・セレナ北東部の標高2516mの山頂にあるラス・カンパナス天文台で、徐々にその姿を現しつつある。この望遠鏡は太陽系以外の星系にある惑星のクローズアップ写真を撮影し、地球に似た居住可能な惑星であるかどうかを調べる。
「超大型」時代の始まり
巨大マゼラン望遠鏡は、より高解像度の画像を生成して太陽以外の恒星を周る地球に似た惑星を探しやすくすることで、天体物理学に変革をもたらすものとして、天文学者たちはこれを「超大型」地上望遠鏡(ELT)と呼んでいる。「ELT」時代には、別の超大型望遠鏡2つが含まれている。欧州南天天文台の欧州超大型望遠鏡(E-ETL)および30メートル望遠鏡(Thirty Meter Telescope)だ。後者は巨大マゼラン望遠鏡とともに米国の超大型望遠鏡プログラムの一環だ。
巨大マゼラン望遠鏡は、あらゆる超大型望遠鏡の中で最高の画質と最大の視野を持つことになると製造担当者はいう。
観測の黄金期
これらの超大型望遠鏡が一体となって、宇宙ベースおよび地上ベース観測の黄金期を拡大していくだろう。初めて赤外線を使って宇宙を高解像度で見たジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の能力については誰もが知っているが、同じくらい重要なものの工事が、ラスカンパナス天文台の南わずか240kmにあるセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)で進められている。そこではヴェラ・ルービン天文台が建設中だ。2025年から、この望遠鏡の3.2ギガピクセルCCDイメージングカメラ(史上最大のデジタルカメラ)は、地球から見えている空全体をわずか3夜で観測し、実質的に宇宙の動画を生成する。
巨大マゼラン望遠鏡の「ファーストライト(初観測)」は2030年代初期まで待たなくてはならないが、目玉である「Large Earth Finder(大型地球型惑星発見装置)と「Near-Infrared Spectrograph(近赤外線スペクトログラフ)」は特に、待つ価値が十分にある。
「この望遠鏡はJWSTとヴェラ・ルービン天文台の両方で行われている研究成果を合体させます」と巨大マゼラン望遠鏡の主任研究員レベッカ・バーンスティンはいう。「完璧に配置された2つの装置が、地球に似た系外惑星を直接撮影し、居住可能な惑星を見つけます」
巨大マゼラン望遠鏡の完成予想図(GIANT MAGELLAN TELESCOPE – GMTO CORPORATION)