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2023.06.15

セールスフォースが描くAIファーストの企業像、「AIがあらゆる場所に」

Getty Images

ChatGPTが出してくる、カスタマイズされた「個別メッセージ」でウェブサイトを置き換えることは可能だろうか?

想像してみてほしい。好きなファッションブランドのウェブサイトにアクセスしたときに、単にロゴやグラフィック、ウェルカムテキストが表示されるのではなく、自分が昨年購入したパンツをはいて、そして自分がまだ所有していないブランドの新作春コレクションのセーターを着た自分自身のコーディネート姿が表示されるところを。これはセールスフォースが先週、商取引、マーケティング、分析、コミュニケーション、コラボレーションなどにAIを全面的に活用したソフトウェアを導入する顧客向けに「AIクラウド」を使ってAIを至る所に展開すると約束した革新の1つだ。

セールスフォースの社長サラ・フランクリンは「ブランドのウェブサイトに行ったときに、目にするのはたくさんのコンテンツやコピーではありません。その代わりに、自分に向けた『個別メッセージ』を目にするのです。そしてこの個別メッセージは、私のCRMからの情報を基に、AIに裏打ちされた賢い会話として始まるのです」という。

こうしたAIショッピングアシスタントは、同社が提供するもののごく一部に過ぎない。

バイヤー向けの説明を自動生成するCommerce GPT(画像:セールスフォース)

バイヤー向けの説明を自動生成するCommerce GPT(セールスフォース)


これらすべては、セールスフォースが提示する壮大なビジョンの一部であり、そのビジョンの中では、生成型AIが販売からサービス、社内協力に至る企業が行うほとんどすべての活動に深く組み込まれている。たとえば、Commerce GPTは、セールスフォースがマーケターが選択、編集、公開できる製品説明を自動生成する。それは数十の異なる言語にテキストを翻訳し、Slackの会話の中で、自然言語の問い合わせに応じて分析結果を提供し「個別メッセージ」に対応したマーケティングメールを作成し、メールに店舗アクセス情報を追加し、メッセージを自動的にパーソナライズする。

もしブランドがもっとカスタマイズされたものを必要とするなら、Einstein GPTが開発者が自由に調整できるカスタムコードを瞬時に生成することができる。そして、顧客がサポートを求めたときには、Einsteinは現地の天候状況、公共のイベントや場所、そして顧客の履歴や会社の製品とサービスの知識に加えて、位置情報や状況に応じたサービスや利用オプションを提案することで企業担当者をサポートできる。

もちろんだが、それに加えて、以前の注文に基づいた追加の購入も提案する。

AIファーストの企業像は魅力的だが、それは決して安価ではない。

セールスフォースのAI Cloudスターターパックの年間費用は36万ドル(約5000万円)からとなるが、コンステレーションリサーチのラリー・ディグナンによると、このスターターパックには「Data Cloud、Mule Softオートメーション、タブローアナリティクス、Slack、CRMそしてセールスフォースサービスからのAI対応評価」が含まれているという。
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翻訳=酒匂寛

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