「Generative Recolor」と名付けられたこのツールは、デザインの色やフォントをすばやく変えられるようにするもので、Fireflyを利用するアドビの生成AIツールやモデル群に新たに追加された。同社は、5月下旬にPhotoshopに「生成塗りつぶし(Generative Fill)」と呼ばれる機能を追加し、Fireflyの生成AIを用いて画像にないものを足したり、置き換えられるようにしていた。
Generative Recolorは現在、Illustratorでベータ版が提供されている。コカ・コーラやランドローバーなどのブランドは、Illustratorを使ってベクターグラフィック(画像の品質を落とすことなくサイズを変更できる画像)を作成している。
コスティンによるとデザイナーは「ネオンポップ」や「秋の紅葉」といったプロンプト入力することで季節のマーケティングのバリエーションを作成できるという。
アドビのユーザーは、3月以降にテキスト画像合成AIツールを用いて合計2億枚近い画像を作成したという。同社は最近、コンシューマーからの関心の高まりに応え、生成AI機能を企業にも提供する計画を発表した。
アドビのFireflyは、クリエイティブ・コモンズやウィキメディア、フリッカーコモンズなどのパブリックドメイン画像と、アドビストック(Adobe Stock)の3億枚の画像や動画で学習を行っている。アドビストックは、フランスのストックフォトのマーケットプレイスのFotoliaを8億ドルで買収した結果、生まれたものだ。
多くのアーティストやコントリビューターが、自分の作品が明確な許可なくアドビの生成AIモデルのトレーニングに使用されることを懸念している。しかし、アドビは、Fireflyが商業利用に適していると確信しており、企業顧客が著作権侵害で訴えられた場合、あらゆる法的費用を補償すると述べている。
コスティンによると、アドビでは数百人の研究者が、より詳細で高解像度の画像を生成できるように、Fireflyの品質向上に取り組んでいるという。同社は、動画や3D画像の生成のためのAIモデルの開発も行っているという。「クリエイターはAIに取って代わられるのではない。彼らは、AIを使うクリエイターと競合することになる」とコスティンは語った。
(forbes.com 原文)