レイ・ダリオが語る「戦争の瀬戸際」にある米中関係と今後の激変

レイ・ダリオ(左)は、フォーブス「アイコノクラスト・サミット」で、スティーブ・フォーブス(右)と、変化する世界秩序をどのように見ているのかについて語り合った(Photo by Taylor Hill/Getty Images)

世界最大のヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で、昨年引退したレイ・ダリオは、自身の投資における成功の多くは歴史研究のためだという。彼は、第二次世界大戦後の米国主導の世界秩序が衰退する可能性があると考えている。

6月12日にニューヨークで開催されたフォーブスのサミット(Forbes Iconoclast Summit)でダリオは「米中は戦争の瀬戸際にあり、話し合う能力を超えている」という4月にリンクトインで公開したエッセイについて話をした。73歳の彼は、経済戦争や台湾独立をめぐる物理的な衝突の可能性を心配している。

「米国の相対的地位は低下し、中国の相対的状況は高まっている。中国が米国に勝つとは言わないが、紛争では同等の力を持つことになり、その紛争は多元的なものになる」とダリオは語った。「話し合うことはほとんど逆効果だ。なぜなら、互いを非難したり、紐解いたりすることが多すぎるからだ」

中国のワールドパワーとしての台頭は、ダリオが今日の米国に対する脅威とみなす3つの大きな要因の1つで、他の要因には、巨大で増大し続ける債務と、富の不平等をめぐる内部対立が挙げられ、ポピュリズムの台頭がその対立に拍車をかけているという。

「金融危機と同時に大きな貧富の差があれば、ポピュリズムが発生する可能性が高い」とダリオは述べ、ポピュリストとは敗北を認めない個人だと指摘した。「この2つが重なれば、爆発的な組み合わせになる」

ダリオは、1971年8月15日の日曜日にリチャード・ニクソン大統領が、米ドル紙幣と金との兌換一時停止を宣言したときのことを思い出しながら話をした。当時、ニューヨーク証券取引所に務めていたダリオは、翌日の月曜日に株価が暴落すると考えたが、意外なことに株式市場は過去数十年で最高の日を迎えたのだった。

歴史に興味を持った彼は、1933年にフランクリン・ルーズベルト大統領がラジオで金本位制の停止を発表したときにも、同じことが事実上起こっていたことを知った。

ダリオはその後、歴史的なサイクルを研究することに専念し、それが2008年と2009年の金融危機の際にブリッジウォーターの旗艦ファンドがプラスのリターンを上げるのに役立ったと信じている。

新たな世界秩序

「私を驚かせたことは、私が生きている間に起こらなかったから驚いただけで、歴史上では何度も起こっている」とダリオは語った。「1920年代から1945年の時代を研究することで、私は2008年の金融危機の本質を理解した」

今、ダリオは世界の勢力図にさらに大きな激変が起こると警告している。第二次世界大戦後に、米国は世界の支配者になり、国連や国際通貨基金など、それ以降に形成された影響力のあるグローバルな集団のほとんどがこの国に本拠地を置いてきたと彼はいう。しかし、それは永遠に続くわけではなく、米国は多くの対外債務を抱え、手に負えないほどの富の不平等に直面しているため、彼は別の激変が襲うことを懸念している。

「1945年に私たちは新しい世界秩序を始めた。システムが変わる時には、さまざまな対立が生じる。新たな集団が責任者となり、ルールを決めるのだ」と、ダリオは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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