彼ら曰く、サウナ体験において水風呂にここまでこだわりを見せる国は、世界的にも日本くらいなのだという。海に囲まれ、河川も多い日本は、水資源がとても豊富であり、日本人にとって水はとても身近なものである。そうした環境が、日本におけるサウナ文化を、海外からも一目置かれるユニークなかたちへと進化させたのではないだろうか。
冷泉は日本中のいわゆる「田舎」に点在していることが多い。それをひとつの「推し」として展開しているお湯どころもあれば、生かしづらく悩んでいる所もある。それまでは、ただ「よい水が湧き出る場所」だった所が、ここ数年のサウナ文化の発展と相まって、大きな価値を発揮できる地域資源に大化けする可能性は十分に高い。そして、サ旅を通じた人が多く訪れ、地域活性に一役買うことになるかもしれない。TTNEがしかける「寒の地獄温泉」のリニューアルプロデュースは、そういった意味でも試金石のようなチャレンジであり、ひとりのサウナーとしても応援したいと思う。
なかやま・りょうたろう◎マクアケ代表取締役社長。サイバーエージェントを経て2013年にマクアケを創業し、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」をリリース。19年12月東証マザーズに上場した。