BBCの番組「Radio 4 Today」に出演したマッカートニーは、「ビートルズの最後のレコード」がAIの助けを借りて完成し、今年後半に発売される予定だと述べた。
彼は、古いデモテープから故ジョン・レノンの声を取り出すためにAIが使われたと語った。テクノロジーによって、古びたカセットに収録された演奏からレノンのボーカルを分離し、何十年も前の曲を完成させたと述べている。
マッカートニーはこの曲の名前を明かさなかったが、BBCは、1980年にレノンが亡くなる前に作ったデモテープに収録されていた「Now and Then」というタイトルの曲の可能性が高いとしている。この音源は、1978年にレノンのニューヨークの自宅アパートで録音されたもので、90年代にレノンの未亡人であるオノ・ヨーコからマッカートニーに渡され、バンドのアンソロジープロジェクトの候補曲として検討されたが、音質が悪いため断念されたと伝えられている。
音声の復元やアーティストの死後の楽曲のリリースは音楽業界では珍しいことではないが、近年はテクノロジーの進歩がますます強い影響力を及ぼしており、AIが故人の歌や楽曲を生成する場合もある。また、2022年にデジタルアバターを活用したコンサートで40年ぶりに復活した、スウェーデンのポップグループABBAのような事例もある。
しかし、このようなテクノロジーは、作品の権利に関して多くの問題を提起している。入力されたリクエストに基づいてコンテンツを生成するAIの中には、他のアーティストの楽曲を含む可能性のあるデータで訓練されたものがあるが、その貢献が認められたり対価が支払われるケースはほとんど存在しない。
また、AIを用いて知名度が高いアーティストの声を真似た楽曲が制作され、人気を博す場合もあり、レーベルやアーティスト自身からの反発が相次いでいる。
(forbes.com 原文)