具体的には、希望するすべての小規模小売店が、キャドバリーが用意した動画の中で、シャー・ルク・カーンに自店舗の名前を口に出して推奨してもらえるというものだ。動画内でシャー・ルク・カーンが「ディワリ祭りでは、○○で買い物をしましょう」と語りかけるのだ。この○○の部分に自店舗の名前が入る。口元も声も自然な形で売り込んでもらえる。
そしてその動画をFacebookやYoutubeなどで流すことができるようにした。
「Cadbury: Shah Rukh Khan」より
冒頭で紹介した事例ビデオを見ると、例えばファッション購買に関して語るシーンでは、この○○の部分に、Choice of Fashion、Aajkal Fashion、Royal Fashion、MK Cloths、Laxmi Collectionと様々な小規模店舗名が入り、MyAd化している様子が描かれている。多くの小規模小売店は、生成AIを活用したこの広告コミュニケーションによって、全国的なスーパースターの口から、自らの店舗を売り込んでもらえたのだ。
この動画は9400万回以上視聴され、14億回以上の表示、13万もの独自の広告が作成された。結果、この時期の小規模店舗のビジネスは35%アップを記録したという。
そして同時に、本企画に参加した44万の小規模店舗がキャドバリーのチョコレート・ギフト・ボックス「キャドバリー・セレブレーション」を販売したため、本商品は過去最高の3300万個の売上を記録した。
キャドバリーは、“単なる企業や商品の広告”にとどまらない広告コミュニケーションを行うことで、売上減少に苦しむ小規模店舗支援というソーシャル・グッドと、自社製品の売上アップをみごとに両立させた。なかなかにスマートな戦略だと言えるだろう。