アジア

2023.06.14 09:00

村上春樹も訪れたラオスの町にビジネスチャンス? カフェ起業した日本人

田中友梨

「ルアンパバーンでビジネスを始める最大の魅力は、町のコンパクトさと、ソフト・ハード両面が発展途上であることです。高いクオリティーのサービスや商品を提供できれば十分に勝機はある」

そう語る元川さんの目標は、ラオスのコーヒー業界を盛り上げると共に、ラオスではまだ浸透していない「バリスタ」を若者の憧れの職業にすることだ。
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飲食業以外にも変化が

観光客の増加は、飲食業以外にも変化をもたらした。

例えば賃貸業を営んでいる人々は、長期賃貸から「民泊」に変え始めている。その背景には個人旅行や自然体験型旅行、地域との交流型旅行など、より濃密な時間を求める客が増えていることがある。長期賃貸よりも回転率が高く、外貨ベースの収入が得られるというメリットがあるのだ。
 
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また、ルアンパバーンを形作る環境や自然、文化を観光資源として活用し、町の魅力を拡張させつつ維持していくという意識も高まっている。

宿泊業や旅行代理店では、利用客の送迎車をはじめレンタルバイクやレンタカーをすべてEV化するホテルが増えているほか、世界遺産地区周辺の豊かな自然を活用したエコツーリズムも活発化している。日本もJICAを始め政府ベースで都市開発・交通管理プロジェクトやエコツーリズム開発などの支援を行っているが、ビジネスベースでは元川さんのように個人の起業家を除き完全な空白地帯だ。

観光資源と自然環境を保全しつつ、持続可能な観光地を作る──。すでに多くの成功事例を持つ日本には、そのノウハウを持つ企業や個人も多いことだろう。コロナ禍を経て、新旧の入れ替わりが進む、未だ発展途上の世界遺産ルアンパバーン。そこには日本発だからこそ可能な、ビジネスチャンスが眠っている。

文=下村靖樹

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