その変化に対応した独自KPIを開示。中期経営会議、新規事業、職種変更など、社内プログラムに強制でなく、自ら参画した社員の割合を「手挙げ比率」として開示(82%)。小売りのみならずフィンテック、CVCなど、グループ内での職種変更率は77%。ひとりの人材が多様な事業を経験すれば、当然成長する。職種変更後の「成長実感割合」までも開示。豊富な独自指標から「さまざまな種類のビジネスを経験した自発的な人材が、成長を実感している会社」という印象を受ける。
人的資本開示を積極的に行った結果「小売業からプロデュース人材輩出業」へと企業イメージも変わった。長期の経営課題、メガトレンド(人口減、ダイバーシティのなさ)をどう人的資本で「解く」か。企業が人的資本開示と向き合うことは、組織風土の変革の糸口になる。5点評価の37社の統合報告書には、人的資本を積み重ねるためのヒントがあふれている。
田中 弦◎Unipos代表取締役社長CEO。ソフトバンク、ネットエイジグループなどを経て、2005年Fringe81を創業。17年に東証マザーズ上場。21年10月、人的資本向上事業へ専念するためUniposに社名変更。