「工程そのものは単純ですが、大豆ミートとディーツの割合や、植物性油脂の量など、焼き上げたときにベストと思われる配合を導きだすのが難しく、納得いくパティに仕上げるまで試作を繰り返しました。ゆうに一年はかかりましたね」と福島氏。
そうしてようやく、牛肉に負けない噛み応えや旨みを持つハンバーガーパティが出来上がった。
プラントベースミートのパティのメーカーでなく、肉のおいしさを知り尽くしているヤザワミートが作るからこそ、このクオリティが実現できたといえるだろう。
ひとつの選択肢として
食は文化であり、人生の大きな楽しみであるから、極上の黒毛和牛のステーキに舌つづみを打つのは悪いことではないどころか、素晴らしい体験である。しかし、毎日食べる必要がないことも事実だ。大量消費、飽食の時代を経て、多くの人が地球環境に目を向けるようになった今、ヴィーガンやベジタリアンでなくとも、1週間に1~2度はフリーミートデイを作るといったような考え方もありだろう。ヤザワミートも、プラントベースミートを代替肉ということではなく、一つの選択肢ととらえている。
そう考えると、このパティはおおいに活躍の余地がある。実は、パティを崩すことで、挽肉としても使える。試食会では、キーマ風カレーとペンネのボロネーズを食したが、どちらもまったく違和感なく、立派に挽肉のオルタナティブになっていた。
今後はECサイトで冷凍販売するということで、家に常備しておけば、ささっと料理に使える。環境保全の小さな1歩として、大きな評価を贈ってもいいのではないだろうか。