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2023.06.14 09:15

複数のAIでテスラを超える自動運転、日本のチューリングが目指す場所

リリースベース(松村)
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プレスリリースより

車を運転中、隣の車線の車がウインカーを出すと、こっちの車線に入るのだなと咄嗟に判断します。このとき人の頭の中では言葉で状況を考えています。それと同じように、大規模な言語モデルが状況判断をして、運転担当のAIに指示を出すというシステムを日本の企業が開発し、特許を出願しました。「打倒テスラ」をミッションに掲げるEVスタートアップ、チューリングです。

ひとつは、「軽量モデルと大規模モデルを組み合わせて素早い車両制御と複雑な状況判断を両立した自動運転を実現する仕組み」です。総合的な認知や意思決定を行う大規模モデルであり、「人の自然言語指示や背景知識に基づき総合的な判断を行うモデル」(指示役)と「センサーを中心とした認知・推論を行う軽量(高速)なモデル」(実行役)を組み合わせたものです。これは、ラリーカーレースのナビゲーターとドライバーの関係を模したシステムであり「ナビゲーター・ドライバー・モデル」と同社は呼んでいます。

もうひとつは「言語モデルを用いた自動運転入出力システム」です。自動運転車がセンサーで取得した映像から状況を判断し、ドライバーに状況を解説し提案を行う技術です。自動運転車が人間と同等かそれ以上の状況判断を行うには、「言語を通じて状況を描写する」能力が非常に重要な要素技術になると同社は考えました。人が複雑な道具を組み立てたりグループで作業ができるのは、言語による思考を習得したからだと言います。まさに、自動運転車も言語を得ることで格段に進化するのではないでしょうか。
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合言葉は打倒テスラ。新しい「脳みそ」でつくる完全自動運転車

チューリングは、完全自動運転車の基礎技術開発から車両の製造までを一貫して行うことを目指し、世界で初めて名人を破った将棋AI「Ponanza」の開発者、⼭本⼀成氏と、カーネギーメロン大学で自動運転技術を研究していた⻘⽊俊介氏が2021年に共同創設した会社です。すでにシードラウンドで10億円の資金調達を完了し、2023年中には自社での車両生産体制の構築を目指してシリーズAの資金調達を行う予定です。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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