McKinsey Health Institute(マッキンゼー・ヘルス・インスティテュート)の最近の報告で、世界中の被雇用者の4人に1人が職場において高確率で「有害」な言動を経験していることがわかった。
完璧な職場環境など存在しないが、有害な職場とは無礼で差別的で、不信感を与え、多くの場合は敵対的な環境だと定義されている。職場で極度の緊張を感じたり、報復を恐れて発言を避けたり、理由もなく会議から排除されたりする場合もあるだろう。残念なことに、不健全な職場文化は従業員の生産性とウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に健康で幸福な状態)に悪影響を及ぼす。米医務総監でさえ、有害な労働文化は労働者の肉体的・精神的な健康に有害だとする指針を発表している。
パンデミック後に変わったのは、労働者が有害な職場環境を容認しなくなった点だ。実際、マサチューセッツ工科大学のビジネススクールである
MIT Sloan(MITスローン)の研究では、有害な職場が退職理由の第1位だと判明した。労働者が求めているのは、高い給料、働き方の柔軟性、ワークライフバランスだけではない。心理的に安全だと感じられる職場であることも望んでいるのだ。
もしも毎日出勤するのが嫌でたまらないなら、有害な職場環境にはまって抜け出せずにいる状態かもしれない。以下に、転職するべきタイミングを示す10の兆候を紹介しよう。
1. 有害な職場は疲れる
仕事は活力を与えてくれる存在であるべきで、命を吸い取られるような代物であってはならない。毎日の仕事終わりに心身ともに疲れきっているようなら、それは赤信号かもしれない。そのうち、燃え尽き症候群になってしまいかねない。世界で蔓延している燃え尽き症候群は、放置すれば心臓発作や脳卒中など、より深刻な問題に発展する恐れもある。
2. 有害な職場は意欲を奪う
自分が
ネガティブな職場文化のただ中にある可能性を示すもう1つの兆候は、モチベーションが常に下がっていることだ。有害な職場で何年も働いていると、自信がなくなり、自分の能力を疑い始める。もしそうなら、別の職場環境を探すべき時かもしれない。
3. 有害な職場は離職率が高い
同僚がどんどん逃げ出してはいないだろうか? 所属企業が従業員を繋ぎ止められずにいるのであれば、警鐘とみていいだろう。有害な職場環境の要因となるだけでなく、収益にも悪影響を及ぼす可能性がある。
SHRM(米国人材マネジメント協会)の最近の報告書「有害な職場文化がもたらす高コスト」によると、米国における職場文化を原因とする離職のコストは5年間で2230億ドル(約31兆円)を超えたという。
4. 有害な職場は「不健全な境界線」を助長する
有害な仕事文化は、対人関係における「健全な境界線」が欠如した状態を常態化させる。たとえば、夕方や週末にも上司からのメールに返信するよう求められたり、プロジェクトを完了させるため毎晩遅くまで残業することを期待されたりといったことだ。疲れ果てて燃え尽き症候群になるまでがんばることを上司が要求してきたら、それは重大な赤信号だといえる。