2020年に生まれたメラティには二つの製品がある。ハイビスカス、クコの実、生カカオなど植物由来の原料をブレンドした「Melati Classic(メラティ・クラシック)」と、グリーンマンゴー、グアバ、ライム果皮を使用した「Melati Fresh(メラティ・フレッシュ)」だ。
「ずっと自分の会社を立ち上げたいと思っていましたが、ノンアルコール飲料というカテゴリーを知るまで、何から始めたらいいのかわかりませんでした」
ウィナタは、若い消費者の要求に応える革新的でトレンディな製品を生み出している今年の「30 Under 30 アジア:小売&Eコマース」に選ばれた起業家の一人だ。
米国のアライド・マーケット・リサーチによると、世界のノンアルコール・スピリッツ市場は、2031年までに2倍以上の6億4200万ドル(約895億円)になると予測されている。Pernod-Richard(ペルノ・リカール)は「シダー」、Diageo(ディアジオ)は「シードリップ」を展開する大手飲料メーカーだが、ウィナタは、優れた原料を使ったプレミアムアペリティフをアピールしていきたいと考えている。
精巧な製造により、1回の生産量は半リットル瓶で500本、価格は45ドル(約6200円)と、ノンアルコール・スピリッツの中では最高の価格帯だ。昨年は、アジアのミシュラン星付きレストランをはじめ、7500本を販売したとウィナタは言う。
ウィナタはシンガポールとジャカルタで育ち、カリフォルニアで学んだ後、インドネシアを拠点とするベンチャーキャピタルEast Ventures(イースト・ベンチャー)に加わり、その後シンガポールの投資会社Reapra(リープラ)に入社した。
「ずっと自分の会社を立ち上げたいと思っていましたが、ノンアルコール飲料というカテゴリーを知るまで、何から始めたらいいのかわかりませんでした」と語るウィナタは、投資家から未公開の資金を調達している。彼女はロサンゼルスにメラティの支店を設立し、小売店を中心にアメリカ進出を図っている。
インドの職人による調理器具ブランド
カヴィヤ・チェリアンもまた、古い伝統を生かして新しい製品を生み出す起業家だ。数理アナリストの仕事を辞めた後、チェリアンは料理への情熱を再発見した。2020年、彼女はインド各地の職人によって作られた調理器具とストーンウェアのブランド、Green Heirloom(グリーン・エアルーム)を設立した。その製品は、キャスト・アイロンや粘土製のカレー鍋、ブロンズのサービングプラッターなど多岐にわたる。ロティパンを作るための大きくて平らな鍋ロティタワなど、伝統的な調理器具のデザインを現代のキッチン向けに軽量化・小型化するのが特徴となっている。チェリアンによると、発売以来、同社の売上は3倍に増加したという。