そうした中、大学生活のDXを推進するスタートアップ、ペンマークは6月8日、同社が提供する大学生向け学習管理アプリ「Penmark」を利用中の学生1397人に実施した、起業・スタートアップに関する意識調査の結果を発表した。
起業する場合の事業形態を尋ねると、最多が「スモールビジネスをしたい」(すでに確立された市場:26.7%)で、「スタートアップとして自分で事業を起こしたい」(まだ世の中に顕在化していない新しい市場:22.1%)、「企業へ就職し、社内起業したい」(9.3%)が続いた。背景としては、学生にとってスモールビジネスが低リスクで、手始めに取り組みやすい事業形態であることが考えられるという。
起業を志したきっかけについては、1位「テレビ・新聞・インターネット等からの起業に関する情報」(37%)、2位「先輩・友人からの影響」(25.2%)、3位「大学の授業等からの影響」(17.9%)、4位「親が経営者」(15.3%)という順番に。起業に興味を持つ学生にとって、メディアや身近な人(先輩・友人および親)からの影響が大きいことが伺える。
一方で、「大学の授業等からの影響」は2割弱に留まり、大学における起業教育の影響力が相対的に低いことが示唆される。学生からは「将来的に起業を考えてはいるが、起業に関する授業は受講しておらず、周囲にも浸透していない」(慶応義塾大学・3年)という意見も聞かれた。
さらに、起業に関する現在の状況を質問すると、「起業準備中」(11.5%)と「すでに起業している」(2.7%)を合わせて、起業に向けて実際に行動している学生は14.2%という結果に。起業する理由については、1位「お金を稼ぎたい」(36.7%)、2位「ビジネスに関心がある」(23.4%)、3位「学んだこと・スキルを活かしたい」(21.5%)と続き、「社会課題を解決したい」(12.5%)は4位だった。早くから学校教育などでSDGsについて学び、社会課題への関心が高いとされるZ世代の一般的な特徴とは異なる理由が最多となった。
学生からは、「収入源を多く持ち、生活を安定させたい。起業に憧れがある」(東京理科大学・3年)「大企業で新規事業開発に挑戦したい。その前段階として起業することで、起業家精神を培いたい」(横浜国立大学・3年)「誰かの下で働くのではなく、自分自身が主体となり社会で活躍したい」(上智大学・4年)「起業している親戚がいて自由な暮らしに憧れている。なんとなく起業してみたい」(慶応義塾大学・3年)といった声があがった。
他にも、起業する場合の働き方については、「兼業・副業としての起業」が6割超(62.5%)を占め、「起業に就職せずに起業」は4割(37.5%)を下回った。同社は、兼業・副業としての起業が支持されている理由について、「実際に起業を進めている学生の中で、スモールビジネスでの起業を選択する割合が最も高いことや、起業する理由の1位が『お金を稼ぎたい』であることから、収入面のリスクを抑えたいという意識があると考えられる」と分析。
今後について、「若年層の起業家育成に向けて、大学等の教育機関が力を入れていくことが見込まれる。学内においても学生の起業との接点が増え、起業がさらに身近になり、起業自体の解像度も高まることで、創業企業数は増えていくことが予想される」との見通しを示した。
参考)令和4年度大学発ベンチャー実態等調査の結果(速報)
https://www.meti.go.jp/press/2023/05/20230516003/20230516003.html
プレスリリース