1946年にレオ・フェンダーによって創設された同社は、エレキギターやエレキベース、アンプカテゴリーにおいて世界を代表する企業で、国内外の伝説的なミュージシャン達にも愛されてきた。楽器を演奏しない人でも、ブランドを代表するモデル「テレキャスター」「ストラトキャスター」「ジャズベース」といった名前を聞けば、ピンとくるかもしれない。
そんなFMICが6月30日、世界で初めての旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO」を東京の原宿表参道エリアにオープンする。運営母体は、2015年に日本法人、およびアジア太平洋地域の統括本部として設立したフェンダーミュージックだ。
フェンダーブランドのギター、ベース製品をはじめ、アーティストシグネイチャーモデルなど新製品や注目アイテムを展示販売する1階。楽器以外のオリジナルグッズや「F IS FOR FENDER」のアイテムも展開する(写真はイメージ)
地下1階、地上3階の4フロアで構成された明治通り沿いの店舗は、ハイエンドユーザーから初心者、さらには楽器を触ったことがない人にとっても開かれた空間になる予定だ。同時に、77年の歴史において初めてのチャレンジとなるオリジナルアパレルブランド「F IS FOR FENDER」もローンチする。
なぜ今、日本に旗艦店を出店するのか。フェンダーミュージック代表取締役社長のエドワード・コール(アジア・パシフィック統括)に聞いた。
なぜ「日本」なのか?
いま日本で、ギターを買う人は増えているのだろうか。経済産業省の統計によると、日本国内のギター出荷量は2014年に12万本にまで落ち込んでいた。しかし、コロナ禍に突入した2020年には20万本にまで回復、その後も成長が続き市場は活気を取り戻しつつある。
これと歩調を合わせるようにフェンダーミュージックも2015年の創設以降、2桁成長を続けている。現在、国内のギター、ベース、アンプ市場でのシェアは35%を超える。
こうした日本市場への期待が、世界で初めての旗艦店の出店先として日本を選んだ理由のひとつだ。エドワードはそのほかの理由として、消費者の教育水準の高さとインバウンド需要を挙げる。
「日本の消費者は教育水準が高く、良質なブランドを見極める優れた目を持っています。そんな消費者に選ばれるブランドでありたいというブランド戦略がひとつ。そして、世界的な観光地としてインバウンド需要が見込めることもひとつです」