食&酒

2023.06.10 12:00

アジア太平洋の「No.1ピザ」は東京の人気店 50 Top Pizza発表

今回No.1となった東京の「ピザバー on 38th」は、イタリア人のカソン氏のピザへの愛から生まれた、カウンター8席だけのピザバー。去年も、「日本の季節の食材を活かし、ピザをファインダイニングに」という姿勢が評価され、アジア太平洋で3位、さらにカソン氏も「今年のピザ職人」にも選ばれていた。
エグゼクティブシェフ ダニエレ カソン氏

エグゼクティブシェフ ダニエレ カソン氏


今年は、飽くなき探究心が生み出した数々の変革が、No.1に押し上げたと言えるだろう。春なら山菜や摘みたての甘いグリーンピース、秋ならキノコと、日本の旬の食材を使い季節感を反映したピザをコース仕立てにし、焼きたてが楽しめる8席だけのエクスクルーシブなカウンターで提供するスタイルは、日本のカウンター割烹が目指すものに近い。

自分たちのスタイルを追求すべくリノベーションを敢行し、今年3月の再オープンでは、席数は変わらないものの、椅子をより一層くつろげるものに変更するなど、快適さを追求。さらに、夜は一斉スタートで、8種のピザを少しずつ楽しむおまかせコースのみにするなど、庶民的なファストフードだったピザを、より「上質な体験」に変えようとしている。

筆者も何度か訪れたことがあるが、カソン氏は、トッピングに合わせて異る小麦粉をブレンドし、発酵の方法を工夫するなどして、2種類の生地を開発。訪れるたびに生地の改良が図られており、その生地に対する情熱は、寿司職人が赤酢と米酢の酢飯を使い分け、水分量や炊き方にこだわる、酢飯にかける情熱と近いものがあると感じていた。

コース全てがピザというだけあって、チョコレートやフルーツを使ったデザートピザなどもあるが、カソン氏が絶対に譲らず、オーセンティックなスタイルを貫くのがマリナーラとマルゲリータ。見た目は変わらなくても、そこには常に「さらに良いものを」という、毎日のように質の向上を目指す、日本の職人気質に似たアプローチが感じられる。

例えば、昨年からは一層トッピングする食材の鮮度にこだわり、モッツァレラチーズは週に4回、千葉の農園、クルックフィールズから届くように変更するなどの工夫を重ねた。「日本に10年暮らす中で、より良いものを日々追求する、日本の職人的な考え方にインスピレーションを受けた」とカソン氏は語る。
「ピザバーon 38th  」のマリナーラ

「ピザバーon 38th」のマリナーラ

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文=仲山 今日子

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