アマゾンの過去24時間の売れ筋商品を示すページ、ムーバーズ&シェイカーズには現在38種類以上のマスクが表示されており、さらに空気や水のフィルターも検索されている。
東海岸で大気の質が過去にないほど悪化し、ニューヨークの大気汚染レベルがインド・デリーを上回った今週、当然のことながら多くの人がエアフィルターや加湿器、高機能マスクを急いで購入している。
また、ニューヨーク、そしてその他の東海岸の都市やカナダでは外出を控えるよう呼びかけられているため人出が減り、店から客足が遠のいている。
山火事の影響で米国は広範囲にわたって有害な厚い煙に覆われた。ニューヨークの空はオレンジ色になり、焦げた臭いが漂った。このため、ニューヨークはさわやかな初夏というより、テレビドラマ『ラスト・オブ・アス』に似たこの世の終わりのような様相となった。
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市衛生当局は安全対策として、市民に高機能マスク(N95やKN95など)の着用のほか、窓を閉め、空気清浄機を使用し、エアコンの外気取り込み口を閉じるよう呼びかけている。
客足遠のき打撃
ニューヨークの小売店にとって大気汚染は悪いニュースだ。視界が悪いためにニューヨークへのフライトの到着遅延やキャンセルが相次ぎ、市民や観光客は街の中心部から遠ざかっている。MLB(メジャーリーグベースボール)は7日にニューヨークとフィラデルフィアで予定されていた2試合を延期し、ブロードウェイではミュージカルの『ハミルトン』と『キャメロット』が同日の公演を中止。『プライマ・フェイシィ』ーのスター女優、ジョディ・カマーは呼吸困難のためマチネの舞台をわずか10分で降りた。
ニューヨークの小売業界では新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来、多くの雇用が失われ、今回の大気汚染はそうした中でのものだ。ただし、シンクタンクのセンター・フォー・アン・アーバン・ヒューチャーの報告書によると、小売以外の雇用市場はほぼ完全に回復している。
報告書によると、2020年2月からの3年間でニューヨーク市では小売業の雇用は11.1%減となり、数にして3万7800人の雇用が失われたが、民間雇用部門全体では0.8%増えた。
また、同市の小売業の雇用減は米国内の他の都市よりもはるかにひどかった。全国の小売業の雇用は実際には平均0.7%増加していた。
気候変動と山火事の影響は、カリフォルニア州のサンフランシスコとロサンゼルスでは夏の災害となって現れている。激しくなるばかりの山火事は近年、北カリフォルニアの広範囲を煙で覆い、2020年にはサンフランシスコの空をオレンジ色に染めた。
状況は週末まで変わりそうになく、ニューヨークの店舗やレストラン、劇場は夏が始まったばかりだが厳しい一週間になることを覚悟している。
(forbes.com 原文)