北米

2023.06.09

欧州消費者機構、暗号資産の誇大広告でSNS各社を非難

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欧州の消費者団体の連合体は6月8日、当局への申し立てで、SNSプラットフォーム上で誤解を招く暗号資産関連の広告の拡散したとして、TikTokやツイッター、YouTube、インスタグラムらを非難した。

EUの消費者保護団体である欧州消費者機構(BEUC)は「暗号資産関連の誤解を招く広告がSNSプラットフォーム上で増殖することを許した」として、欧州委員会と消費者当局に苦情を申し立てた。暗号資産への投資は極めて投機的であり、消費者を詐欺や大金を失う可能性を含む深刻な危険にさらすと、同団体に加盟する9団体は共同で提出した訴状で主張した。

暗号資産への投資に関するリスクはすでに説明されており、誇大広告が増えているにもかかわらず、消費者がそのリスクを十分に認識しているケースは少なく、プラットフォーム上で暗号資産を宣伝する広告主やインフルエンサーがそのリスクを明確に開示していないと、訴状は述べている。

BEUCのモニーク・ゴイエン事務局長は「消費者はSNS上の広告やインフルエンサーからの助言で、一攫千金の投資を約束されることが増えている」と述べ、その多くが誇大広告であり、消費者は大金を失う危険にさらされていると主張した。

BEUCは、EUの各国の規制当局の連合体である消費者保護協力ネットワークに対し、暗号資産の広告を掲載するプラットフォームに現状よりも厳格なポリシーを課し、インフルエンサーが暗号資産について消費者を誤解させることを防ぐための措置を講じるよう要請した。また、同グループは、欧州の消費者当局に対し、金融監視当局と協力して、暗号資産の誤解を招く宣伝を防止するよう求めている。

欧州連合は5月に、世界初の暗号資産に関する包括的な規則とされる暗号資産市場規制(MiCA)を承認し、2024年に施行する予定だが、BEUCのゴイエン事務局長は、この法律は「消費者を犠牲にして暗号資産の広告から利益を得ているSNS企業」には適用されず、さらなる規制が必要だと述べている。

暗号資産は特に新しいものではないが、消費者の関心は近年、爆発的に高まっており、議員や規制当局は、それに追いつくために奔走している。

キム・カーダシアンやリンジー・ローハン、ジェイク・ポールなどの有名人やインフルエンサーは、この分野の誇大広告に拍車をかけ、暗号資産を宣伝しているが、規制当局によると、これは違法である可能性があるという。サム・バンクマン=フリードのFTXのような大手取引所の破綻やバイナンスの広範な不正行為の疑惑は、この分野の執行の欠如を強調し、当局がこの業界の規制に真剣に取り組むべきだという主張につながっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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