CEO(最高経営責任者)のアーセン・トムスキー(Arsen Tomsky)によると、inDriveは最近1億5000万ドル(約210億円)を調達し、配車サービス以外に事業領域を広げることを目指しているという。同社の配車サービスの特徴は、顧客がドライバーと値引き交渉ができることだが、今後はさらなる差別化を図ろうとしている。
「我々は、インターシティやシティカーゴ、ラストワンマイル・デリバリーなどのモビリティビジネスを多くの場所で展開している」とトムスキーは話す。彼によるとinDriveは最近、ヨルダンとジンバブエ、キプロスに進出したという。
同社はアジア、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパの47カ国で配車サービスのほか、物流や食品配送、長距離移動などの事業を展開している。
「この数年、我々は配車サービスの拡大に注力し、世界にまたがる大規模な都市ネットワークを構築した。これからは第2ステージに突入し、多くのビジネスバーティカルを段階的に立ち上げていく」とトムスキーは述べた。
彼によると、同社が進出した市場には潜在顧客が多く存在するが、これまで競合企業が十分にサービスを提供していなかったという。同社は新たな分野に進出しており、最近ではブルーカラー向けの求人情報検索サービスをカザフスタンでリリースした。
「このサービスは、TikTokとティンダーを組み合わせたようなものだ。短編動画で仕事の情報を見ることができ、自分に合ったものは選択し、そうでなければスワイプすることができる」と、トムスキーはいう。
inDriveは先に物流部門の強化のため、ラストマイル配送向けソフトウェアプラットフォームを提供するオランダのSaaSスタートアップMaster Deliveryを買収すると発表した。また、同社は新興市場の小規模スタートアップに投資する1億ドル規模のコーポレートベンチャーキャピタルファンドNewVenturesを立ち上げた。
inDriveに限らず、配車サービス業界全体にとってこの数年は激動の時期であり、多角化戦略の展開は同社にとって大きなターニングポイントとなっている。