ニュースサイトThe Vergeは6月7日、アップルが米軍と契約を結んでいる拡張現実(AR)ヘッドセットのスタートアップのMiraを買収したことを報じた。
米軍の中でも特に空軍は、ハイエンドのARと仮想現実(VR)デバイスの巨大な市場と言える。パイロットを訓練するためのドーム型シミュレーターは、1時間の稼働に2000~4000ドルのコストがかかるからだ。
「ARとVRを活用すれば、ほんのわずかなコストで実際の軍の訓練と非常に近いエクスペリエンスが得られる」と、軍や大手企業向けに約2000ドルからのハイエンドVRヘッドセットを製造するVarjoのCTOのUrho Konttoriは述べている。
アップルのApple Vision Proは、その用途に理想的で、Varjoの最上位ヘッドセットよりも高いスペックを備えていると推定できる。さらに、ユニティ(Unity)で作られたゲームをネイティブに受け入れる空間コンピューティングシステムを搭載しており、すべてのモバイルゲームの70%がこのヘッドセットに対応していることになる(ユニティのジョン・リッチティエッロCEOは、モバイルゲームの70%がユニティで構築されていると述べている)。
戦場の混沌とした状況下で、兵士たちが協力し合うためにはシミュレーションが非常に重要だ。
「シミュレーションシステムの中には、何万人もの人々が同時にデジタル戦闘環境に身を置くことができるものもあり、これは基本的に、かつて人々が行っていたような軍事演習に取って代わるものだ」と、VarjoのKonttoriは最近のインタビューで述べていた。
米軍はすでに『コール オブ デューティ(Call of Duty)』や『ゴーストリコン(Ghost Recon)』のようなシューティングゲームを訓練目的で使用しており、ユニティで作られたゲームの大規模なマルチプレイヤー版が、戦時シミュレーションで使用されることは容易に想像できる。
アップルが買収したとされるMiraは、ARヘッドセットの開発で1700万ドルを調達し、米空軍と米海軍を含む複数の軍事契約を結んでいる。同社の製品は、メカニック向けのインラインの説明書や仕様書など、技術者向けの用途も多いようだが、同社の軍事的なつながりとApple Vision Pro を組み合わせれば、将来の軍事訓練のための優れたプラットフォームが構築できるはずだ。
(forbes.com 原文)