米国立気象局で気象予報業務を統括するグレッグ・カービンは科学誌サイエンティフィック・アメリカンの取材に、米国への煙の影響は夏にかけて弱まっていきそうだとの見方を示している。カナダの山火事シーズンは続いても、ジェット気流が弱まり、気象パターンも変わってくるためだという。
猛威を振るう山火事の抑え込みへカナダ当局が懸命の努力を続けるなか、フランスや米国は新たに多数の消防隊員を支援のため派遣している。とくに被害の大きいケベック州は、コスタリカやポルトガル、チリにも支援を要請している。
カナダの山火事はいまも燃え続けているのか
カナダの気象当局によると、国内各地で400件あまりの山火事が続いており、うち246件は制御不能となっている。最も多く起きているのは米ニューヨーク州と接するケベック州で、154件がなお続いている。山火事の原因は?
一部は今月あった落雷によって発生した。カナダのアルバータ州やノバスコシア州、ケベック州は記録的な高温に見舞われており、大西洋側の一部地域では干ばつも起きている。気候変動の影響もあるのか
気候変動が直接、山火事を引き起こすわけではないが、気温の高さや干ばつなど、山火事を深刻にする条件は気候変動と関係している。カナダ天然資源省も気候変動を山火事を活発にする要因の1つとみており、山火事による年間の消失面積は今世紀末には2倍に拡大するおそれがあると予測する。国連環境計画(UNEP)は2022年、気候変動によって山火事はすでに深刻化していると指摘し、これまで起きていなかった場所でも激しい山火事が増えていくだろうと警鐘を鳴らした。ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は7日の記者会見で、今回のような事態は「気候変動によって拍車がかかっている」と言及している。