ビジネスリーダーの私的な交遊を通して、彼らの“裏の顔”に迫る連載「エグゼクティブ異種交遊録」第13回をお届けする。
初赴任先のデンマークは思い出深い場所。教育や人生の価値観、多くを学びました。
山田清志:私がコペンハーゲン郊外にある東海大学ヨーロッパ学術センターに赴任したのは、1986年のこと。当時は英語も話せず、海外は新婚旅行で行っただけという状態でした。そのセンターで賄いをしてくれていた人物こそが、トーベンのお母さんです。日本食もありがたかったし、ホームパーティにも招いてくださり、家族ぐるみで親しくなりました。北欧家具にも魅了され、この学長室も北欧テイストにこだわっています。デンマークの人々はプライベートな時間を多くとり、センスのよい豊かな暮らしを楽しんでいます。それでいて1人当たりのGDPは日本よりはるかに多い。日本人は働き方改革よりも人生の改革をしないといけません。
デンマークは、東海大学創立者である松前重義が大きな影響を受けた国でもあります。彼のグローバルな視野とヒューマニズムに立脚した教育の原点となり、70年のヨーロッパ学術センターの設立につながりました。私もそこに滞在した3年間でさまざまな刺激を受けました。映画『ローマの休日』のアン王女のように、「東海大学は世界に協定校が多数あり、どこも魅力的ですが……、何といってもコペンハーゲンです!」とスピーチしたこともあるほど、思い出深い街なんです。