その一方で、文筆家としても活躍。脚本、エッセイの他、初の長編小説「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン」は200万部を突破するベストセラーとなり、映画化もされました。
また美術大学を卒業した画家、イラストレーター、デザイナーでもあり、ラジオのナビゲーターやナレーター、フォトグラファー、構成・演出家など多種多彩な顔を持つ、まさにマルチタレントです。
5年も続いたプータロー生活
そんなリリーさん、実は20代は極貧のプータロー生活を送っていたといいます。「大学を卒業した後、就職したくないからプータローになったんですが、とんでもない生活でした。もちろん金はない。時には腐ったものにも手を出す。下痢してるのに水道は止まっているから、自分の家でウンコもできない。友達にタカりまくって愛想を尽かされ、軽蔑され、消費者金融に金を借りまくって、そんな毎日でした(笑)」
アルバイトをしようとはしたそうで、当時は紙媒体だった求人アルバイトの情報誌は買っていました。
「これ、いいじゃんとページを折る。ところが、それだけでもうバイトしたような気分になっちゃって。このままじゃヤバいという思考すらも、だんだんできなくなっていきました」
将来のことを考えるなんて、とんでもなかったといいます。それよりも、今日の食事をどうするか。それが何よりの心配事でした。
「そもそもプータローになるとき、オヤジに言ったら、『何でも5年はやらないとわからない』と言われましてね。それでやったんですが、さすがに5年もプータローをやってるとつらくなってきて(笑)。それで働こうかなと。すでに20代も後半になっていました」
大変な20代を送っていたのです。しかし、リリーさんは若い人に、こんなアドバイスをします。
「20代は苦労したほうがいいんですよ。何でも後に楽しいことがあるほうがいいじゃない。いちばん大変なのは、若くして成功しちゃうことです。金もあって、人も集まってきて、いいところに住んで。ところが30代になって、そこから落ちていったらしんどいです。それよりも、ちょっとずつでもいいから、去年よりマシになっていると思えるほうがはるかに楽です」