ユニセフ物資供給センター長のエトレバ・カディリ氏は、「2022年のユニセフが調達した支援物資・サービスの規模は、世界で危機が同時多発しており、第二次世界大戦以降のどの時期よりも多くの子どもたちが人道支援を必要としている状況を浮き彫りにしています」と説明。
同年、ユニセフが届けた支援物資には、ワクチン34億回分や浄水剤21億錠、効果が長期間持続する防虫剤処理を施した蚊帳3810万張、教材・学用品セット16万2000個の他に、重度の消耗症に苦しむ子どもたち約510万人の治療を目的としたRUTF(すぐ食べられる治療食)などが含まれている。
報告書では、世界的な栄養危機の拡大とRUTFの需要増に対応するため、2021年から22年にかけて栄養関連物資の調達が90%増加したことも強調。5期連続で雨期に雨が降らず、190万人以上の子どもが重度の栄養不良で命を落とす危険があるアフリカの角に向けて、大規模な物資輸送を行ったという。
さらに、子どもの保健分野では史上初めてマラリアワクチンが供給されるという大きな進展があり、ユニセフがその供給契約を受注。背景には、ガーナなどでの試験的プログラムが成功したことと、世界保健機関(WHO)がマラリアの感染率が高い、もしくは中程度の国々でのワクチン普及を推奨したことがある。ユニセフはパートナーと協力し、マラリアワクチンの健全な市場確保、需要予測、調達と輸送に取り組んでいる。
また、人道支援物資の供給網上で生じる障壁や需要に対応するために、ユニセフは2022年に輸送・物流セクターとのパートナーシップを構築。これにより航空・海上・道路輸送の協力を受け、27カ国に重要な援助を届けることが可能になった。
世界で様々な危機によって子どもたちの命と未来が脅かされるなか、ユニセフは子どもたちが生き延び、成長するために必要な物資やサービスを届けることに取り組み続ける姿勢を明らかにした。
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