宇宙

2023.06.09 09:00

日本の天文家が発見した超新星、その輝きをとらえた超精密画像公開

ハワイにあるジェミニ・ノース望遠鏡が撮影したM101銀河。画面左下の渦巻腕の中で、日本のアマチュア天文家、板垣公一氏が発見した超新星SN 2023ixfが眩しく輝いている。(INTERNATIONAL GEMINI OBSERVATORY)

ハワイにあるジェミニ・ノース望遠鏡が撮影したM101銀河。画面左下の渦巻腕の中で、日本のアマチュア天文家、板垣公一氏が発見した超新星SN 2023ixfが眩しく輝いている。(INTERNATIONAL GEMINI OBSERVATORY)

超新星SN 2023ixfの精密な画像を、ハワイにあるマウナ・ケア火山のジェミニ・ノース望遠鏡が撮影した。

過去10年間に観測された中で最も大きく、最も明るい超新星であるSN 2023ixfは、2023年5月19日に風車銀河(M101)の外れに出現した。

超新星とは、大質量超巨星の自壊であり、爆発に際して放たれる光は恒星1000億個分の明るさにもなり、数週間から数カ月間続く。

左下に輝く超新星が写っている壮観な画像に加えて、ズーム可能バージョンもオンライン公開されている。

爆発的放出

初期の観測結果は、SN 2023ixfがII型(type II)超新星であることを示唆している。それは、自身で支えきれない質量に達した恒星が、エネルギーの爆発的放出を引き起こして地層を宇宙へ押し出した結果、大質量の超巨星、中性子星の崩壊したコアが残されたことを意味している。

SN 2023ixfは、日本のアマチュア天文家である板垣公一氏が山形県で自身の望遠鏡を使って発見した。その存在はカリフォルニア州ツビッキー掃天観測所(ZTF)の望遠鏡によってただちに確認された。

M101はおおぐま座(北斗七星の居場所)の中にある、銀河円盤が垂直方向に見えるフェイスオン渦巻銀河で、約2100万光年の彼方にある。つまり実際に爆発したのは2100万年前であり、その光が今ようやく届いたことを意味している。

2014年以来の最短距離

SN 2023ixfは、2014年にM82(葉巻銀河)に現れたSN 2014J(地球から1200万光年)に次いで太陽系に近い超新星だ。

ジェミニ・ノースが捉えたこの驚異の画像は、同望遠鏡の直径8mの主鏡が修理・改修されて以来初めての画像だ。

太陽系近くで超新星になる可能性が最も高い恒星は、赤色超巨星、ベテルギウスで、2019年に突然暗くなったが、近々爆発するという証拠は見つかっていない。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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