卒業後は日本に帰りたいと思っています。ヨーロッパに美大留学で来る人って、そのままヨーロッパに留まる人も多いイメージがありますが、ぼくはもともと日本の美術に興味があるので、留学前からそこは変わりません。
アートという欧米からの借り物を日本にあてつけるのではなくって、誰かが心配しなくてももとから根強く存在する美ってなんだろうかということを、現状東京で一極集中的にアートと言われているものと一緒に考えることで、日本のアート界の既得権益層が規定するアートの主語の大きさを見直し、あらゆる美の規範性を一つ一つ丁寧に考えることができる環境に身を置きたいと思っています。具体的に場所が決まっているわけではないですが。
──本日はどうもありがとうございました。
※なお長澤氏は8月、9月、東京で以下2つの展示を開催する。
■現代アートからのリハビリテーション’23
現代アートという、基準が非常にあいまいな美の規範性から脱却するために、作家自身が持つ欲望に対して素直になることで、作家単位で美の規範性を形作ることを目指す展示
会場:Hello Bee(東京都台東区池之端2-6-12)
会期:2023年8月16日- 8月22日 会期中無休
時間:14時 - 20時
参加者:佐川 梢恵、沙山 有為、 長澤 太一、前川 結佳、宮野 野乃花(五十音順)
企面:長澤 太一
協力:Hello Bee
■メディウムの音を聞く
長澤氏がウィーンと東京でそれぞれ出会った作品の「一部が偶然似ている」といったことから、その有用性と限界を相互に反復することで、社会における作家や制作のスケールを観測するキュレーション展
会場:仲町の家(東京都足立区千住仲町29-1)
会期:2023年9月2日 -9月18日 土・日・月・祝のみオープン
時間:10時〜17時
参加者:高田 満帆、友高 遼
高以良潤子◎ライター、翻訳者、ジャーナリスト。シンガポールでの通信社記者経験、世界のビジネスリーダーへの取材実績あり。2015年よりAmazon勤務、インストラクショナルデザイナーを務めたのち、プログラムマネジャーとして、31カ国語で展開するウェブサイトの言語品質を統括するなど活躍。2022年より米国系IT企業勤務。