国内景気が3カ月連続で改善 観光産業が後押し

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新型コロナウィルスの沈静化に伴い、経済活動と社会活動の正常化に向けた動きが加速。国内景気は、幅広い範囲で持ち直しの傾向が強まっている。帝国データバンクは6月5日、全国2万7930社を対象に実施した2023年5月の国内景気動向調査の結果を、景気DIとして発表した(※)。

※…景気DIは、帝国データバンクが算出する全国企業の景気判断を総合した指標。50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる。

同社によると、2023年5月の景気DIは前月比0.8ポイント増の45.4となり、3カ月連続で改善。消費税率10%への引き上げ直前の2019年9月(45)を上回るレベルに達したことが分かった。

全国の観光スポットなどへの人出が増加したことで、観光産業の景況感は過去最高となり、その勢いは飲食料品関連の製造・卸売・小売にも波及。半導体不足の緩和も、景気DIを押し上げる要因の一つになった。 

業界別では、人出の増加や活発な消費行動が幅広く好影響を与え、10業界中9業界で景気DIが改善。中でもインバウンド需要が拡大する「旅館・ホテル」は51業種中首位を維持し、「飲食店」「飲食料品卸売」「飲食料品小売」は過去最高を記録した。


規模別でも、「大企業」(48.1)「中小企業」(44.9)「小規模企業」(43.9)のいずれも3カ月連続で改善。観光産業に活気が戻るなか、設備投資や外出拡大などポストコロナに向けた動きもプラスに働いた。

続いて地域別でも、10地域すべてが3カ月連続で改善。9年6カ月ぶりに、全地域3カ月連続での上昇となった。各地の旅行・観光関連が好材料となったほか、地場産業が上向いたこともあり、33都道府県が改善した。

同社は今後1年間の国内景気について、「ポストコロナに向けた経済・社会システムの構築に対応する動きが一段と加速し、インバウンド需要や対面型サービスを中心とした個人消費の拡大、DXの推進や自動化・省力化への設備投資などはプラス材料となろう」との見方を示した。

一方で、「海外情勢の先行き不透明感が強い。食品など生活必需品や電気代の値上げ、人手不足の長期化、金利動向など懸念材料は山積しているほか、さらに賃上げの動向も注視すべきであろう」と説明。今後は、コストアップなど下振れ要因がありつつも、緩やかな回復傾向で推移すると予想した。



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Forbes JAPAN Web編集部

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