風邪をひいたわけでも大声で話したわけでもないのに、喉の違和感が拭えない経験はないだろうか?
「それはストレスが原因かもしれません。喉は消化器系の病気やがん、時には心の病まで、多くのサインが表れる場所なので原因を正しく究明することが大切です」。
そう語るのは、学芸大駅前クリニック院長の岩畔慶太先生だ。今回は岩畔先生に、“風邪じゃない喉の違和感”に潜む危険性について話を聞いた。
話を聞いたのはこの人!
日々のストレスは、喉の異変としても表れる
──風邪でもないのに、なかなか喉の違和感が消えません。何か悪い病気が隠れているのでしょうか?
さまざまな理由が考えられますが、もっとも厄介なものとしては「食道がん」や「喉頭がん」などの悪性腫瘍、また「逆流性食道炎」が原因となる場合もとても多いですね。
──逆流性食道炎を患っている人は周りにも多く、とても身近な病気に感じます。
この場合は胃酸が胃から食道に逆流し、喉に刺激を与えてしまうことが違和感につながります。同時に、「口の中が酸っぱく感じる」「よくゲップが出る」「胃がムカムカするような胸やけ」などの症状が表れることも多くあります。
──たまに胃痛を感じることはありますが、口の酸っぱさなどは特に感じていません。なんというか、喉に“何かが詰まっている”という感覚があるんです。
検査をしないと正確な診断ができませんが、そういった異変を訴える方は「咽喉頭異常感症」の可能性があります。
──あまり耳馴染みのない「咽喉頭異常感症」とは、どういう病気でしょう?
主にストレスが原因と言われている病気です。更年期障害やうつ病などでも見られることが多く、心理的に大きな負担がかかった場合に喉の違和感が悪化する傾向にあります。
──喉とストレスが関連するのは、なぜでしょうか?
喉には無数の神経が張り巡らされています。この神経がストレスなどで過敏になってしまうと、「何もないはずなのに、何かがある!」と錯覚して詰まった感覚を起こすんです。
──“喉に詰まっている”という、限定した感覚なんでしょうか?
喉の痛みや声のかすれなどではなく、何かしらの存在感を感じるのが特徴です。“ボールが入っている”、“ゴムがくっついている”といった言葉で表す患者さんもいます。
もともと体調が良くないときや思い当たるストレスがある場合は、咽喉頭異常感症の可能性が高いかもしれません。