北米

2023.06.07

SECが取引所コインベースを提訴、ビットコインは急落後に反発

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世界最大の暗号資産取引所Binance(バイナンス)に対する提訴からわずか1日後、米国証券取引委員会(SEC)は6月6日、暗号資産取引所のCoinbase(コインベース)を提訴し、同プラットフォームが少なくとも2019年から未登録のブローカーとして運営されていると主張した。

SECは6日の声明で、コインベースが未登録のブローカーとして取引プラットフォームを運営し、投資家がブロックチェーン上の取引でリターンを得ることができるステーキングサービスを未登録のまま提供したとして告訴したと発表した。

ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所に提出された訴状でSECはさらに、コインベースが無登録のブローカーとして証券のマーケットプレイスを提供し、顧客のために取引を行うことで、「不法に数十億ドルを稼いだ」と主張している。

コインベースの株価は、訴訟が公表された直後に15%以上急落し、12%安で6日の取引を終えた。

SECのゲイリー・ゲンスラー委員長は声明で、コインベースが犯したとされる過ちは、詐欺や不正行為を防ぐための「重要な保護を投資家から奪うものだ」と述べた。

コインベースの最高法務責任者であるポール・グレワルは、6日朝にこの申し立てに反論し、暗号資産業界に対するSECの「明確なルールがない中での強制執行のみのアプローチへの依存」は、「米国の経済競争力と、コインベースのようにコンプライアンスへの取り組みを実証した企業を傷つけている」と述べた。

グレワルは声明の中で、当局が「公正なルールを透明性をもって策定し、平等に適用できる法律」を作るまでの間、同社が通常通りの事業を継続すると述べている。

今回の提訴は、SECが世界最大の暗号資産取引所のバイナンスに対して13の告発を行った翌日に行われた。その訴状でSECは、バイナンスが「連邦証券法を露骨に無視している」とし、同社とそのCEOのチャンポン・ジャオが、「投資家の資産を重大なリスクにさらしながら莫大な利益を得た」と主張していた。

CoinMarketCap(コインマーケットキャップ)によると、コインベースは直近の24時間で13億ドル(約1810億円)の取り引きを行っており、世界で2番目の取引量を誇っている。同期間のバイナンスの取引量は約120億ドル(約1.7兆円)とされている。

コインベースは、2021年4月に株式市場にデビューしたが、株価はその年のピークから80%以上下落しており、この1年間で2000人以上の従業員を解雇した。同社のCEO、ブライアン・アームストロングは、昨年6月の最初のレイオフ後に「我々は急成長しすぎた」と述べ、今年の1月には、業界の「ルールを守らない者たち」を取り巻く「最近の出来事」が、規制の明確化につながると信じていると述べていた。

バイナンスとコインベースに対する告発は、暗号資産市場をさらに揺るがし、Bitcoin(ビットコイン)の価格は一時、約3カ月ぶりの安値の2万5500ドル(約355万円)に沈んだが、その後は2万7000ドル(約376万円)付近にまで反発した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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