モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン率いるアナリスト達は6月5日、2023年末のS&P500種株価指数目標を3900ドル(約54万円)に設定し、2日につけた10カ月ぶりの高値から8.9%の下落になると予想した。彼らは、主に人工知能(AI)関連の成長見通しに後押しされたメガキャップのハイテク銘柄の上昇が一段落すると考えている。
ウィルソンは、AIによる楽観論は、今後の業績の後退を「止めることはできないし、緩和することもできない」と警告し、株価予想に過去の財務ファンダメンタルズをよりよく反映させる「適切なリセット」を呼びかけた。
それでも、ウィルソンと彼のチームは、来るべき嵐を乗り切るために最も適した株式について、数多くの選択肢を提示している。
モルガン・スタンレーは、不況時に他のカテゴリを上回ることが多い消費財セクターと、高インフレ時に有利な価格決定力を持つ企業に幅広く強気を示している。食品コングロマリットのMondelez(モンデリーズ)とタバコ大手のPhilip Morris(フィリップ・モリス)は、この2つに当てはまる銘柄だ。
企業レベルの支出が厳しくなる中、モルガン・スタンレーは、投下資本に対するリターンが最も高く、経営効率が最も高いと評価できる企業をスクリーニングした。
その結果、ヘルスケア銘柄のAbbVie(アッヴィ)やCardinal Health(カーディナルヘルス)、McKesson(マケッソン)に加え、宅配ピザチェーンのDomino’s(ドミノ)や、小売業のCostco(コストコ)、Home Depot(ホームデポ)、Lowe's(ロウズ)、石油精製会社のValero(バレロ)などを推奨している。
今年の株価は、米国の3つの銀行の破綻や米連邦準備制度理事会(FRB)の金利の引き上げ決定、連邦政府の債務不履行の可能性など、さまざまな懸念材料を払拭し、目覚ましい復活を遂げている。S&Pは、昨年10月の底から20%上昇したが、2021年12月のピークを12%下回る水準にとどまっている。
一方、ミスラフ・マテイカ率いるJPモルガンのアナリストは、「最悪の事態は去ったというコンセンサス予想は間違いだと証明されるだろう」と5日のメモで述べた。インフレ率が低下するにつれ、中央銀行が金融引き締め策を撤回するという期待もあるが、JPモルガンは企業利益がウォール街の期待に追いつかないというモルガン・スタンレーの見解に同意している。
(forbes.com 原文)