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2023.06.07 08:45

Apple Vision Proは「パーソナルコンピュータ」を再定義する

3Dの動画撮影も可能

デモを見たあと、実機を少しの間使うことができた。筆者はこれまで、市販されているXRヘッドセットはほとんど試したことがあるが、Vision Proに近いものは1つとしてない。Vision Proの体験はそれほど驚異的で革新的だった。根本的には「ヘッドセットの形をしたMac」といっていいだろう。

Vision Proを装着して起動すると、スクリーンにおなじみのアプリのアイコンが表示される。視線や簡単な手ぶりでアプリを開くと、そこはもうバーチャルな環境だ。パススルー(透過)機能を備えているので自分の環境(たとえばデスクやオフィス、リビングルームなど)も見えるが、アプリはバーチャルスクリーンの上に重ねて表示される。あるアプリを開いて端のほうにやり、別のものを正面に大きく表示するといったこともできる。スクリーンは100インチクラスの大型テレビのような印象だ。

UIは非常に直感的で、慣れるのに1分もかからなかった。Vision Proを体験中、バスケットボールや野球、サッカーの試合も見たが、まるでその場にいるかのような臨場感だった。3Dの映像なので、その中に入り込むことができるのだ。映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の3D版も見せてもらった。横幅30メートルくらいの劇場スクリーンのようなものに表示されるのだが、こちらも映画の世界の中で見ているような感覚に陥った。

Vision Proの大きな特徴の1つは、前方のカメラを使って3Dの動画を撮影できる点だ。友人たち同士がキャンプファイヤーを囲んでいるデモ動画をVision Proで見ると、自分もその場で参加しているように感じる。これは、いままでで最もテレポーテーションに近い体験と呼べるかもしれない。

写真も100インチのスクリーンに大写しされたような感じになるので、非常に見やすく、豊かな色彩も楽しめる。パノラマ写真は圧巻の一言だ。

既存のMac用アプリの大半がVision Proでも動作するということだから、発売当初からゲームや効率化、教育などの多数のアプリを利用できそうだ。

アップルは基調講演で、企業での活用例として、医療や工場、自動車業界などでVision Proを用いてシミュレーションを閲覧するデモも披露した。さまざまな業務用ソフトウェアも変革していく可能性を秘めるVision Proは、まず企業を中心に広がっていくのかもしれない。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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