ジュエリーブランド買収
これまでに高級品部門を攻めようとする試みはいくつかあった。最も注目すべきは、高級ブランドを展開するLVMHグループの投資部門、LVMHラグジュアリーベンチャーズが太陽光発電でダイヤを製造するイスラエルのLusix(ルシックス)に投資したことだ。だが、Breitling(ブライトリング)とTag Heuer(タグ・ホイヤー)だけがジュエリーではなく時計に人工ダイヤを使用している。そしてフランス・パリを拠点とするデザイナー、ジャン・ドゥーセが展開するブランドはデザインに人工ダイヤのみを使用している。ドゥーセはルイ・カルティエの玄孫で、このブランドは高級血統書付きだ。家系はさておき、ドゥーセはChaumet(ショーメ)、Boucheron(ブシュロン)、Van Cleef & Arpels(ヴァンクリーフ&アーペル)といった名だたるブランドで経験を積み、技術に磨きをかけてきた。
そして今、新出のダイヤモンドファウンドリーはテクノロジー、次世代の消費者の需要、そして賢いマーケティングによって真の高級品部門へ進出しようとしている。
デジタル環境で育った消費者向けジュエリーブランドのVrai(ブライ)はダイヤモンドファウンドリーが参入障壁を取り除くのに使うテコだ。Balmain(バルマン)やGIVENCHY(ジバンシイ)、Dover Street Market(ドーバーストリートマーケット)との最近のコラボレーションはブライの勢いを証明している。
「ブライはダイヤモンドファウンドリーを後ろ盾とする垂直統合型ジュエリーブランドの1つだ」と話すのはモナ・アクハビだ。アクハビはダイヤモンドファウンドリーのマーケティング担当副社長を経てブライの社長兼CEOに就任した。
アクハビによると、ブライは二酸化炭素を排出しない米国内の工場でダイヤを製造している。「製造が始まるところから指輪やジュエリーに変わる瞬間まで、我々が全プロセスをコントロールしている」(アクハビ)。